研究課題
我々は、胆管癌の前癌状態において、claudin-18が高発現し、胆管癌のマーカーとなりうることを示した。(Keira, et al., Virchow Arch., 2015).胆管癌は、ras変異が高頻度で起こることが知られており、claudin-18の機能を調べるため、ras変異がないヒト胆管癌細胞株(TKKK)を用いて、claudin-18の高発現と遊走能、増殖能、造腫瘍能について検討した。その結果以下のことが明らかになった。1)claudin-18をsiRNAを用いてノックダウンするとBrdUの取り込みが有意に低下した。又、invasion Assayも有意に低下した。2)claudin-18の第1細胞外ループに対する特異抗体を作用させると、細胞増殖は有意に低下した。3)TKKK細胞シートを用いて、ligand-receptor segregationを破壊し、wound healingの過程を観察すると、wound edge にclaudin-18が高発現していた。スクラッチ後60分で、ERK1/2のリン酸化、AKTのリン酸化、pan-PKCのリン酸化が認められた。ERKの活性化を伴っていた。4)EGF-Rを活性化すると、EGFの濃度依存性にclaudin-18の発現が有意に上昇し、EGFR活性化阻害剤とERK1/2活性化阻害剤で、claudin-18の発現上昇が抑制された。5)免疫不全マウスに移植したTKKK細胞の造腫瘍性はclaudin-18のsiRNAを投与すると有意に低下した。
2: おおむね順調に進展している
シート状に培養した細胞に、woundをつけるとwound edgeにclaudin-18の発現が上昇した。wound signalは、ERK1/2経路を介していた。これはwoundによるタイト結合ストレスによるものと考えられる。
今後は、ホルモン環境の変化によるタイト結合ストレスを検討する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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