研究課題
1)我々は、これまで肝臓や膵臓、胆管等の種々のヒト腫瘍におけるタイト結合分子の発現に関して検討し、報告してきた。今回は、唾液腺腫瘍におけるタイト結合関連分子の免疫組織化学的検討を行い、診断マーカーとしての有用性を評価した。その結果、claudin-1、-4、-7、JAM-Aの免疫染色パネルにより、唾液腺腫瘍の組織型を分類可能であり、鑑別診断マーカーになりうると考えられた。2)我々は、これまで子宮頸部腺癌においてclaudin-1の発現レベルが増加し、バイオマーカーとなりうることを報告した。今回は、子宮頸部腺癌細胞株を用いて、claudin-1の発現調節機構について検討した。claudin-1の発現はエストロゲンに依存して増加が見られた。調べた子宮頸部腺癌細胞株はすべて、エストロゲンレセプター(ERα)は発現しないが、膜結合型エストロゲン受容体であるGPR30を発現していた。手術材料を用いた免疫染色でもclaudin-1とGPR30の間に正の相関が見られ、両者の発現は予後不良因子であった。このことから、エストロゲン/ GPR30シグナル伝達およびclaudin-1は子宮頸部腺癌治療に有効な可能性があると考えられた。3)上皮極性の獲得のメカニズムの解明のため、マウス肝細胞株を用いて、タイト結合分子occludinに着目し検討した。occludinは、微絨毛関連分子であるezrinのリン酸化を制御することにより、微絨毛形成を誘導した。この現象は、細胞膜上に存在しないoccludinのC末側細胞内ドメインのみでも誘導された。このことから、occludinにはシグナル伝達の場として細胞質内で機能している可能性が考えられた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件)
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