研究課題/領域番号 |
16K08694
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
立石 陽子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20644438)
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研究分担者 |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326027)
梅田 茂明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30644439)
稲山 嘉明 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 教授 (10184730)
大橋 健一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40231203)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早期大腸癌 / リンパ節転移 / microRNA / 網羅的発現解析 |
研究実績の概要 |
早期大腸癌(大腸SM 癌)は多くが内視鏡切除により根治できるが、約10%にリンパ節転移を伴い外科切除が必要となる。このような高悪性度病変の峻別は早期大腸癌の病理診断における重要な課題である。我々は、組織学的形態学的特徴と分子病理学的特性を解析し、高悪性度な早期大腸癌に特徴的な発現を示すmiRNAを同定することを目的とした研究を進めている。これまでの研究では、幾らかのmicroRNA(miRNA)(miR-31, miR-21)の発現亢進が早期大腸癌の発生に寄与することを明らかにしてきた。本年度は、更に、リンパ節転移を伴う早期大腸癌の原発巣とリンパ転移巣を対象に網羅的miRNA発現解析を行った。 リンパ節転移を有する大腸SM癌2例のホルマリン固定材料(FFPE)から、原発巣とリンパ節転移巣の腫瘍成分をレーザーマイクロダイセクションで切り分けRNAを抽出し、マイクロアレイを用いたmicroRNA網羅的発現解析を行い、転移巣に特徴的なmiRNA発現解析プロファイルの解明を試みた。2例の解析において、原発巣とリンパ節転移巣との間に共通して2倍以上の変動がみられたものは、高度の発現上昇を示したものはmiR-125bで、発現低下を示したものにはmiR-1228など25個であり、これらが早期大腸癌のリンパ節転移に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
早期大腸癌の原発巣とリンパ節転移巣の腫瘍成分をレーザーマイクロダイセクションで切り分けRNAを抽出したのだが、特にリンパ節転移巣は腫瘍量が非常に少なく、十分なRNAを抽出できた病変は、対象とした症例のうちでも一部であった。そのため、研究の遂行に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
microRNA網羅的発現解析により、早期大腸癌のリンパ節転移巣に特徴的なmiRNAの候補としてmiR-125bが抽出された。既に大腸SM癌のRNAを抽出し、データベースを作成してあり、多数症例におけるqRT-PCRによる発現解析を追加する予定である。さらに、miRNAのin situ hybridizationにより腫瘍内におけるmiRNAの発現分布、発現レベルを解析し、大腸癌の浸潤初期におけるmi RNAの病態生物学的意義について研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の進捗が遅れているため、マイクロアレイやPCRなどの実験に必要な予算を繰り越すことになった。翌年度は、これらの研究計画を遂行をする予定である。
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