研究課題/領域番号 |
16K08698
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
長濱 清隆 日本医科大学, 医学部, 助教 (00336538)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糸球体沈着症 / apoE |
研究実績の概要 |
本研究では、糸球体に含まれる蛋白質を定性的・定量的に解析を行い、各疾患特徴的な沈着物・発現物のプロファイルを決定することを目的としている。具体的には腎生検検体からレーザーマイクロダイセクションにて糸球体のみを単離、蛋白質の精製を行い質量分析を用いた解析を行うことで各種糸球体腎炎特徴的な沈着物・発現物のプロファイルを決定する。平成28年度は診断が確定困難な腎生検検体に対して、質量分析を用いた解析を行った。1つの症例でApoEの高度沈着が疑われ、パラフィン切片を用いた免疫染色、さらには免疫電顕を施行したところ、ApoEによる膜性腎症であることを明らかにした。同症例はApoE Ser197cys変異ヘテロ接合体であることが明らかとなり、質量分析を用いた解析が有効であることが証明された。今後、ApoEの変異症例をさらに集積し解析を行い質量分析の有用性を確認する予定である。加えて原発性アミロイドーシスが疑われる症例に対して質量分析を行い、免疫グロブリンの軽鎖の一方が沈着していることを確認した。さらに解析する症例数をさらに増やす目的でヒト腎生検検体および臨床情報の収集を行う必要が生じたため、日本医科大学倫理委員会の規定に基づき倫理委員会への申請準備、各連携病院との連携および調整を行い、大学のみならず連携病院からも腎生検検体を受け入れる準備を行っている。今後はApoE異常症のみならず他の腎炎、沈着症において質量分析の有用性を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共同利用機器であった質量分析機器が使用不能となったことが年度内に数回あり、その都度修理・回復まで時間を要し、解析を行うことができなかった。また、過去に得られた検体についてカルテ等確認したところインフォームドコンセントの取得が明記していないものや取得困難な症例が予想よりも多かった。
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今後の研究の推進方策 |
解析可能な症例数を増やすと同時に診断困難例について重点的に解析を行い、質量分析の有用性、信頼性をさらに高める。得られた結果に基づいてパラフィン切片を用いて免疫染色で診断可能な分子の同定に努め、診断困難例について質量分析を用いずとも診断可能な方法を検討する。同時にApoEの変異例についても集積を行いApoE関連腎症の形態学的な変化について更なる検討を加える予定である。また解析可能な試料を増やすため協力病院と連携を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に質量分析の消耗品にて使用する予定であったが、質量分析器が故障等のため当初の予定よりも解析できず、従って消耗品を使用する機会が当初の予想より減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度よりもさらに症例を増やして質量分析を行う予定であり、その消耗品の購入に使用する。
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