研究課題/領域番号 |
16K08700
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
竹下 篤 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30298765)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リンパ球浸潤肝細胞癌 / 被膜形成 |
研究実績の概要 |
平成29年度の目標は、①平成28年度に検討した症例に加え、さらに症例数を増やし検討すること、②それらの組織を検討すること、の2点であった。 ①2013年から2016年の4年分を追加し、平成28年度に検討した2012年分と併せて計5年分とした。5年間の当院での原発性肝細胞癌は191例(193結節)であった。そのうち、リンパ球浸潤を伴う肝細胞癌は26結節(13.4%)、リンパ球浸潤の目立たない肝細胞癌(cHCC)は155例(86.4%)であった。腫瘍全体がリンパ球浸潤癌(wLHCC)のものはなく、全例、腫瘍の一部にリンパ球浸潤を認めるもの(pLHCC)であった。pLHCCとcHCCの背景因子としてHBV単独は8例と37例、HCV単独は10 例と58例、非B非Cは8例と60例であった。非B非CのうちNAFLD/NASHは1例と5例、アルコール多飲は3例と16例であった。その他のNBNCはそれ以上の検索はされていなかったが、今後引き続き検索する必要があると考えた。HCV+アルコール多飲はpLHCCで1例、HBV+アルコール多飲はcHCCCで1例であった。背景因子に両群の有意差はみられなかった。当初予後の検討を行おうと考えていたが、大学病院の特異性のためか術後は紹介元病院に通院され当院を受診されていないことも多く、術後経過を追うことが不可能な症例も多かった。 ②に関して、「原発性肝癌取り扱い規約第7版」の組織学的項目に基づき検討した。fc(被膜形成)に関しては、全周性に被膜あり、不完全な被膜あり、被膜なしの3群に分けて検討した。組織学的項目のうち唯一有意差を認めたのはfcで、cHCCで被膜形成が多かった(p=0.03)。細胞質内封入体や淡明細胞、脂肪化はpLHCCに多かったが有意差はみられなかった。 現在免疫染色を行うためのブロックを選別し、30年度はそれらの免疫染色を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
背景因子やHE染色による検討は予定通りであったが、免疫染色を行うブロックの選別に時間がかかり、期日内に染色を行うことができなかった。 なお、肝細胞癌症例を収集、検討する過程で興味深い原発性肝癌を見出したため、平成30年度に発表予定である(研究発表欄に後記)。
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今後の研究の推進方策 |
ブロックの選別が完了し次第免疫染色を実施する。それらを画像解析ソフトを用いて統計学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度前半に免疫染色の抗体をはじめとする消耗品を多く購入する。また、大学の画像解析ソフトを試用し、科研費での購入の是非を検討する。購入する必要がないと判断したときは、画像撮影装置を購入予定である。
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