現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある15遺伝子として、各遺伝子のgene annotationも考慮し、ABCB4, ASCL2, BRM, CCL5, CXCL12, FGF5, FGFR2, FOXD3, LECT1, LGR5, NOCTH4, MYOD1, SALL4, SOX11, SPRY2, TBX2を同定した。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、本研究課題に先んじて施行した研究により幹細胞培養群でのみ結合する11のタンパクの他、質量分析計を用いた詳細な解析により新たに15の候補タンパクを同定した。大部分の候補タンパクは核内で転写調節にあずかるものであり、またそのうちの一つであるRBM14は実際にSS18-SSXとの結合が報告されていることから、結合実験の結果は概ね妥当と考えている。現在までに文献検索等の情報から幹細胞性の制御、維持に関与するタンパクや分子標的薬や特異的阻害剤が存在するタンパクを選択し、次年度に機能解析を行う準備を進めている。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、現在ChIPアッセイを施行する際の各種条件検討を行っている。具体的にはサンプルの準備条件として充分量のクロマチンを得るための幹細胞培養スケールの検討、幹細胞濃縮のクォリティチェック、クロマチン断片化のための界面活性剤濃度及び超音波破砕条件の検討を行っている。
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