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2016 年度 実施状況報告書

脂溶性情報伝達分子の脂質過酸化反応を起点とする肝線維化の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08721
研究機関東海大学

研究代表者

竹腰 進  東海大学, 医学部, 教授 (70216878)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードprotein kinase c / diacylglycerol / lipid peroxide / lipid peroxidation / liver fibrosis
研究実績の概要

情報伝達・細胞応答を司る機能性脂質の過酸化による情報伝達異常と病変発生に至る機序を解明することを最終的な研究目的とする。その中で本研究課題では、酸化ストレスにより誘起される肝線維化病変の起点として脂溶性情報伝達系の中核に位置するジアシルグリセロール(DAG)の過酸化に着目し、in vitro培養細胞系およびin vivo動物モデル実験系を用いて過酸化DAGにより誘導される肝線維化の分子機構を明らかにすることを目的とする。平成28年度は、四塩化炭素を12週間投与し肝線維化を誘導した肝組織中の線維化促進因子の動態を検討した。また、マウス初代培養肝星細胞を調整し、この細胞に過酸化DAGを作用させた際のcollagen産生の変化を観察した。その結果、四塩化炭素長期投与により肝線維化を呈した肝組織中では、過酸化DAG量の増大とともにTGF-beta mRNAの発現が著明に増加することが判明した。また、過酸化DAGの還元消去作用のあるエブセレンを投与することによりTGF-beta mRNA発現増加が抑制され、また、肝線維化も有意に改善された。この結果から、過酸化DAGがTGF-beta mRNAの発現を促進し肝線維化を亢進させる作用があることが明らかとなった。一方、マウス初代培養肝星肝細胞に過酸化DAGを直接作用させるとalpha-SMAとcollagenの発現が著明に増加することが判明し、過酸化DAGが肝星細胞の筋線維芽細胞への分化誘導能を有することが強く示唆された。以上の結果から、過酸化DAGは肝細胞における肝線維化促進因子の発現を促進するとともに、肝星細胞の筋線維芽細胞への分化を誘導することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脂溶性情報伝達分子であるdiacylglycerol(DAG)の過酸化物が肝線維化に重要な役割を果たしていることが、in vivoおよびin vitroの実験により明らかになりつつある。また、過酸化DAGが直接、肝線維化を誘導することを示す重要な知見が得られている。

今後の研究の推進方策

順調に研究が進んでおり、今後も研究実施計画に沿って着実に実験を進めていきたい。また、国内外の臓器線維化の研究を行っている研究者と最新の情報を共有し、また、共同研究を進めることで大きく研究を発展させたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度は順調に実験が進行したため、動物実験の再検討などの費用を抑えられた。そのため、当初より少ない費用で研究を遂行することが可能となった。

次年度使用額の使用計画

当初の予定に加え、研究の発展に寄与する予備的実験の費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Liposome-Encapsulated Hemoglobin Accelerates Skin Wound Healing in Diabetic dB/dB Mice2017

    • 著者名/発表者名
      Fukui T, Kawaguchi AT, Takekoshi S, Miyasaka M, Sumiyoshi H, Tanaka R.
    • 雑誌名

      Artif Organs.

      巻: 41 ページ: 319-326

    • DOI

      10.1111/aor.12864

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cartilage Oligomeric Matrix Protein Increases in Photodamaged Skin2016

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi M, Kawabata K, Kusaka-Kikushima A, Sugiyama Y, Mabuchi T, Takekoshi S, Miyasaka M, Ozawa A, Sakai S.
    • 雑誌名

      J Invest Dermatol.

      巻: 136 ページ: 1143-1149

    • DOI

      10.1016/j.jid.2016.02.802.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of Scavenging Circulating Reactive Carbonyls by Oral Pyridoxamine in Uremic Rats on Peritoneal Dialysis2016

    • 著者名/発表者名
      Mori Y, Kakuta T, Miyakogawa T, Takekoshi S, Yuzawa H, Kobayashi H, Kawakami A, Miyata T, Fukagawa M.
    • 雑誌名

      Ther Apher Dial.

      巻: 20 ページ: 645-654

    • 査読あり
  • [学会発表] 虚血再灌流障害皮弁モデルにおける組織傷害と酸化型DAGの関する検討2016

    • 著者名/発表者名
      黒木尭比古、北谷佳那恵、赤松正、竹腰進
    • 学会等名
      第25回日本形成外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      ナレッジキャピタル コングレ・コンベンションセンター(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2016-09-15 – 2016-09-16
  • [学会発表] PKC-MAPKシグナル経路を介した肝星細胞の活性化と肝線維化増悪のメカニズムの解析2016

    • 著者名/発表者名
      北谷佳那恵、竹腰進
    • 学会等名
      第69回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-08-31
  • [学会発表] ブレオマイシン誘導性肺線維症における酸化型DAGの役割2016

    • 著者名/発表者名
      壺井 貴朗、矢ヶ﨑 秀彦、岩﨑 正之、竹腰 進
    • 学会等名
      第69回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-08-31
  • [学会発表] 皮弁組織傷害における酸化型DAGの役割2016

    • 著者名/発表者名
      黒木尭比古、北谷佳那恵、竹腰進、赤松正
    • 学会等名
      第69回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-08-31

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公開日: 2018-01-16  

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