研究実績の概要 |
正常ヒトiPS細胞4株及び筋疾患患者のiPS細胞2株からEZ sphere法を用いて、骨格筋前駆細胞を誘導した。低速持続攪拌が可能なバイオリアクターを用いて培養のスケールアップを図るとともに、沿軸中胚葉誘導過程をsphere培養法の前に加えることによって、sphere形成効率と骨格筋細胞誘導効率を上げることに成功した。筋前駆細胞の純化にはERBB3/HER3(陽性分画)、CD271(陽性分画)、CD57(陰性分画)、CD108(陽性分画)を用いたFACSによるソーティングが有効であった。純化した骨格筋前駆細胞のin vitroでの筋分化は、TGF-beta阻害剤SB431542及びNOTCH阻害剤(DAPT)によって促進された。免疫不全筋ジストロフィーマウスであるNSG-mdx4Cvマウス骨格筋への移植効率もTGF-beta阻害剤投与によって促進された。以上の結果は国際誌に報告した(Sakai-Tamekura et al., Scientific Reports. 8, Article number: 6555 (2018) doi:10.1038/s41598-018-24959-y)。ヒト多能性幹細胞から誘導された間葉系幹細胞(MSC)がその特異的マーカーであるCD105, CD73, CD90を発現していることをFACSにて確認したので、筋ジストロフィーモデルマウスの前脛骨筋に移植する実験を開始した。
|