研究課題
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、DMD遺伝子の変異によって引き起こされる筋変死・壊死・筋力低下を主張とする重症の遺伝性筋疾患である。現在、病気の進行を止めたり、遅らせたりする効果的な治療法はない。ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)は、in vitroで活発に増殖し、骨格筋を含む様々な系譜の細胞に分化誘導する。そのため、hiPSCは細胞療法のための筋前駆細胞の供給源となりうる。 一方、間葉系幹細胞(MSC)は抗炎症性作用、免疫調節作用を有し、血管形成を促進し、細胞のアポトーシスを抑制し、骨格筋成長に必要な成長因子を分泌することが報告されている。そのため、MSCと共移植すると移植された筋前駆細胞の生存、遊走および生着を改善し得ると期待される。我々は、2つのhiPS細胞株(201B7, 409B2)からMSCを誘導した(iMSC)。フローサイトメトリー分析では、iMSCはMSCマーカーである、CD73、CD90およびCD105を高レベルに発現するが、CD34およびCD45は発現しないことが明らかになった。 iMSCは、骨細胞、軟骨細胞、および脂肪細胞の三系統へ分化することが確認できた。フローサイトメトリー分析では、iMSCはMSCマーカーである、CD73、CD90およびCD105を高レベルに発現し、CD34およびCD45を発現しないことが確認できた。以上、誘導した細胞はMSCのクライテリアを満たすことが示された。iMSCはヒト骨髄由来MSC(BM-MSC)と比較して、より高い増殖能を示したが、培養に伴い、CD105の発現が落ちてくるなどの特徴があり、リプログラミングが不十分であることも示唆された。次に、トランスウェル法を用いて、ヒトiMSC、またはBM-MSCと共培養したヒト筋前駆細胞(Hu5/Kd3)の分化を調べたところ、iMSCとBM-MSCの両方が同程度に筋芽細胞の分化を促進することが分かった。現在、免疫不全mdxマウスであるNSG-mdx4Cvの骨格筋への共移植実験を行っており、iMSCとBM-MSCの移植効率への影響を評価中である。
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Scientific Reports
巻: 8 ページ: 6555
10.1038/s41598-018-24959-y