研究課題
肝臓特異的HNF4α欠損マウス(KOマウス)は非アルコール性脂肪肝(NASH)を発症し、HNF4αとPPARαを欠損させたダブル欠損マウスでは顕著に脂肪肝が改善することが明らかになった。このためKOマウスのNASH発症にはPPARαの活性化が寄与していることが示唆される。このため本研究では、KOマウスにおけるPPARαによる脂肪肝形成機構を解明することを目的とした。KOマウス肝臓では脂肪酸の取り込みに関与するFATP1の発現が顕著に上昇していたため、FATP1の発現がPPARα依存的に転写活性化されるのかどうかをプロモーターアッセイにより解析した。その結果、マウスFATP1のプロモーター活性はPPAR応答配列依存的に転写活性化され、転写活性化はPPARαにより特に強く誘導された。さらには、PPARαの存在下ではコアクチベーターのPGC1αや特異的リガンドによりさらなる転写活性化が認められた。一方、PPARβやPPARγによっても特異的リガンドの存在下で転写活性化が認められたが、PPARαよりも弱いことが分かった。また、ChIPアッセイにより、KOマウス肝臓ではPPARαが特異的にFATP1のプロモーター領域に結合していることが分かったが、PPARβやPPARγの結合は認められなかった。このため、KOマウスによるFATP1の発現誘導はPPARαの活性化によるものであることが明らかになった。また、KOマウス肝臓ではPPARαの発現は低下しているが、FATP1により取り込まれた脂肪酸がPPARαのリガンドとなり、PPARαが活性化されていると推測される。
2: おおむね順調に進展している
目的を達成したため
KOマウスで発現上昇するFATP1とCideA、発現低下するmiR-130a-5pとmiR-193aの発現誘導や発現抑制により、ヒト肝癌細胞株においても脂肪蓄積が認められるかどうかを解析する。また、同様な実験をKOマウスで行い、脂肪肝/NASHの病態改善効果について評価する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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