研究課題
核内受容体HNF4αの肝臓特異的欠損マウス(Hnf4aΔHマウス)は脂肪肝を経てNASHを発症し、さらに核内受容体PPARαを欠損させたダブル欠損マウスがNASH改善を示すことを見出している。このため、Hnf4aΔHマウスでのPPARαの活性化がNASH発症に寄与していることが予測された。今年度はPPARαの活性化によって誘導されるFATP1を発現誘導可能なヒト肝がん細胞株を作製した。その結果、FATP1の発現誘導により脂肪が蓄積することが分かった。従って、予想どおりHnf4aΔHマウスではPPARαの活性化によるFATP1やCideAの発現増加により、脂肪肝が促進されていることが予想される。また、Hnf4aΔHマウスで発現低下するmiRNAとしてmiR-130a-5p、miR-194-5p、miR-193aを同定しているが、今年度はヒト細胞株でmiRNAを強制発現した後、免疫沈降によるその標的遺伝子の同定に関する実験を新たに行い、現在ChIP-seq解析を行っている。これに加えて、Hnf4aΔHマウスで発現低下するmiRNAとしてmiR-455-3pを新たに同定した。ヒト肝癌細胞でHNF4αをsiRNAを用いて発現抑制することにより、miR-455-3pの発現が低下したため、miR-455-3pはHNF4αの新規標的遺伝子であることが示唆された。さらに、miR-455-3pの標的遺伝子として肝臓の線維化に関与する遺伝子をレポーターアッセイにより同定し、Hnf4aΔHマウスでの発現増加も確認できた。このため、HNF4αはmiR-455-3pを介して肝臓の線維化を抑制していることが示唆される。
2: おおむね順調に進展している
おおむね達成できたため
miRNAの標的遺伝子の同定やFATP1、CideAなどのPPARα標的遺伝子のNASH進行への関与を解析し、HNF4α/PPARαカスケードによるNASH進行に果たす役割を解明する。
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