研究課題
本研究は胃癌を対象にEpstein-Barrウイルス(EBV)感染が誘導するゲノムワイドなエピゲノム改変に関わる因子の同定と、EBV感染脱落系を用いたエピゲノム維持機構の解明を目的としている。1. EBV感染によるエピゲノム改変機構の解明:胃上皮細胞において感染早期の新規DNAメチル化形質誘導パターンを経時的に解析した結果、宿主細胞のDNAメチル化誘導に先駆けてウイルスゲノムDNAにメチル化が誘導されることを見いだした。DNAメチル化誘導時の宿主細胞とウイルスの遺伝子発現を次世代シーケンサーを用いたRNA-seq法にて包括的に解析した結果、種々のウイルス遺伝子の発現が認められ、複雑な機構の存在がうかがわれた。2. EBV感染脱落系を用いたエピゲノム維持機構の解明:変異型EBNA1を用いたEBV脱落実験系において、単純な強制発現では十分な脱落効率が得られなかったが、蛍光ラベルで選別することで効率的にEBV脱落細胞を得る実験系を確立した。先行研究にてヒストンの活性化マークやDNA脱メチル化関連酵素TET2がEBV感染時の新規DNAメチル化の抵抗因子であることを見出しており、ウイルス脱落後の細胞においてそうしたエピゲノム修飾因子を変化させることで、EBV感染がDNAメチル化の維持に果たす役割について解析中である。ウイルスと宿主との間の秩序だった相互作用をより詳細に解析することで、新規DNAメチル化誘導のメカニズムの解明が期待される。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Oncotarget
巻: 9 ページ: 32653-32666
10.18632/oncotarget.25987.
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/moloncol/