研究課題/領域番号 |
16K08736
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
岩下 寿秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00283432)
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研究分担者 |
目黒 史織 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40724290)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 線維芽細胞のheterogeneity / 筋線維芽細胞 / 線維芽細胞 / 線維化 |
研究実績の概要 |
我々は、マウス肺からlinnegPdgfraposSca-1highThy-1low (type A)、linnegPdgfraposSca-1highThy-1high (type B)、linnegPdgfraposSca-1mid (type C) およびlinnegPdgfraposSca-1low (type D) の線維芽細胞をFACSを使用して単離することに成功した。さらに、それらのgene profilingを比較することで、linnegPdgfraposSca-1midおよびlinnegPdgfraposSca-1lowではintegrin alpha 8(Itga8)が強く発現することを見出した。このItga8をマーカーとして使用すると、linnegPdgfraposSca-1highThy-1lowItga8low (typeA-1)、linnegPdgfraposSca-1highThy-1lowItga8high (typeA-2)、linnegPdgfraposSca-1highThy-1high (type B)およびlinnegPdgfraposSca-1mid-lowItga8high (type C/D)の4種類に再分類することが可能になった。In vitroの培養実験において、Type A-1とtype Bの増殖速度は速く、脂肪細胞への分化も認められたが、type A-2とtype C/Dの増殖速度は遅く、脂肪細胞への分化は認められなかったが、筋線維芽細胞への分化が認められた。さらに、免疫蛍光染色の結果、type A-1, type A-2およびtype B は肺動脈の周囲に認められ、type C/Dは胸膜直下および肺静脈周囲に認められることがわかった。 肺における、4つの異なる線維芽細胞を同定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺における、4つの線維芽細胞を同定することに成功した。そして、type C/Dの線維芽細胞はin vitroで筋線維芽細胞に分化する傾向にあることと、特発性肺線維症の線維化の分布とtype C/Dの肺における分布が類似していることから、特発性肺線維症の原因となる線維芽細胞である可能性がある。当初に想像していない結果であり、これをさっそくヒトに応用したいと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
①ITGA8-Creノックインマウスを作製し、in vivoにおいて胸膜直下・肺静脈周囲線維芽細胞が筋線維芽細胞に分化することを証明する。 ②ヒト肺から胸膜直下・肺静脈周囲線維芽細胞と肺動脈・気管支周囲線維芽細胞を分離して、生物学的差異と筋線維芽細胞分化を抑制する化合物をin vitroにおいて検討する。 ③肝線維症(肝硬変)、腎線維症および心臓線維症モデルマウス由来の線維芽細胞と筋線維芽細胞の分離方法の開発と機能解析を行う。
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