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2016 年度 実施状況報告書

酸化ストレス応答による細胞極性の異常を起点とした病態発生の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08739
研究機関鳥取大学

研究代表者

堀越 洋輔  鳥取大学, 医学部, 助教 (60448678)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードaPKC / 細胞極性
研究実績の概要

本研究では、「 PSの過酸化物がaPKCの過剰活性化を引き起こし上皮管腔組織構造の破綻を誘導し炎症性腸疾患(IBD)の発生に至る事を明らかとする」を達成する為、以下の解析を行う。
1.IBDモデルマウスの腸組織の形態変化(傷害)が誘導される初期の段階において、aPKCの活性変化およびaPKC-PAR複合体の形成阻害が誘導されているか明らかとする。 2.IBDの病態発生の初期過程において酸化ストレスによるフォスファチジルセリン(PS)の過酸化物が産生されているか検討する。また、aPKC活性化作用について検討する。 3.IBD患者において過酸化PSおよびaPKC活性変化が生じているか解明する。
以上の解析を通じ炎症性病態の共通分子基盤としてaPKCの関与を解明する。
本年度の解析から、IBDモデルマウスの腸上皮細胞ではaPKC、Par-3のタイトジャンクションの局在異常が確認された。また、免疫組織化学的な解析から、aPKCの活性化を示すリン酸化が亢進していた。さらに、培養上皮細胞に酸化ストレスを与えたところin vtroリン酸化実験においてaPKCの活性が亢進していることが分かった。aPKC-Par複合体形成に対する酸化ストレスの作用を検討したところ、酸化ストレスにより、それら複合体の形成が阻害されていた。一方、過酸化されたPSの精製標品を合成・精製することができた。以上の結果から、酸化ストレスによる細胞障害時には、aPKCの異常活性化が誘導され極性異常が生じることが示唆された。
今後、この標品を使い消化管上皮細胞に処理し細胞極性に与える作用を検討する。また、酸化ストレス障害モデル組織・細胞中に過酸化PS量の変化について検討を加える予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の解析から以下の点が明らかとなった。
①IBDモデルマウスの消化管上皮細胞においてaPKCおよびPar-3のタイトジャンクションの局在化が失われた。また、aPKC活性化の指標となるリン酸化が免疫組織化学的手法を用いた解析から明らかとなった。
②酸化ストレスを培養上皮細胞に与えたところ細胞極性の異常が誘導されること、また、aPKCの異常活性化が誘導されることが分かった。
③フォスファチジルセリン(PS)の過酸化物の精製標品を作成することができた。
これらの結果より、酸化ストレスにより肝障害時に観察される細胞極性の異常が他の臓器(細胞)においても惹起されること事が明らかとなった。培養細胞を用いた解析結果ではあるが、極性異常が生じる際にはaPKCの異常活性化が極性変化を誘導する可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

PSの過酸化物の精製標品を合成ができ、実験レベルの量を作成中である。これを用いて培養上皮細胞に処理し細胞極性に対する作用を検討する。また、細胞増殖、細胞死についても検討を加える。さらに、酸化ストレスを加えた培養上皮細胞にPSの過酸化体を加え極性異常を惹起するか、またaPKC-Par複合体に対する作用を検討する。一方、酸化ストレスを加えた培養細胞および動物モデルを用いて障害細胞・組織中の過酸化PS量の変動について質量分析装置を使い検討する。さらに、aPKC-Parの発現抑制を行い過酸化PSによる作用の違いについて検討を加える。
これらの検討により酸化ストレスによる過酸化PSの産生が細胞障害の起点としてとなりうるか明らかとする。

次年度使用額が生じた理由

物品購入等で生じた端数金額

次年度使用額の使用計画

繰り越し次年度の物品購入費用に充当する

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Preconditioning by Low Dose LPS Prevents Subsequent LPS-Induced Severe Liver Injury via Nrf2 Activation in Mice2016

    • 著者名/発表者名
      Nakasone M, Nakaso K, Horikoshi Y, Hanaki T, Kitagawa Y, Takahashi T, Inagaki Y, Matsura T.
    • 雑誌名

      Yonago Acta Med

      巻: 59 ページ: 223-231

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rice Bran Dietary Supplementation Improves Neurological Symptoms and Loss of Purkinje Cells in Vitamin E-Deficient Mice2016

    • 著者名/発表者名
      Takahashi T, Nakaso K, Horikoshi Y, Hanaki T, Yamakawa M, Nakasone M, Kitagawa Y, Koike T, Matsura T.
    • 雑誌名

      Yonago Acta Med

      巻: 59 ページ: 188-195

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nicotine enhances the malignant potential of human pancreatic cancer cells via activation of atypical protein kinase C2016

    • 著者名/発表者名
      Hanaki T, Horikoshi Y, Nakaso K, Nakasone M, Kitagawa Y, Amisaki M, Arai Y, Tokuyasu N, Sakamoto T, Honjo S, Saito H, Ikeguchi M, Yamashita K, Ohno S, Matsura T.
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta

      巻: 1860 ページ: 2404-15

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2016.07.008.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Estrogen receptor-mediated effect of δ-tocotrienol prevents neurotoxicity and motor deficit in the MPTP mouse model of Parkinson's disease.2016

    • 著者名/発表者名
      Nakaso K, Horikoshi Y, Takahashi T, Hanaki T, Nakasone M, Kitagawa Y, Koike T, Matsura T.
    • 雑誌名

      Neurosci Lett

      巻: 610 ページ: 117-22

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2015.10.062.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CoQの上皮極性か促進過程における形質膜(膜動態)に対する影響の検討2017

    • 著者名/発表者名
      堀越洋輔、中曽一裕、北川良憲、松浦達也
    • 学会等名
      第14回
    • 発表場所
      東京工科大学片柳研究所棟、東京都八王子市
    • 年月日
      2017-02-07 – 2017-02-07
  • [学会発表] 創傷治癒促進に関与するトコトリエノールの分子構造とシグナル経路の検討2017

    • 著者名/発表者名
      堀越洋輔、中曽一裕、北川良憲、持田晋輔、松浦達也
    • 学会等名
      第28回ビタミンE研究会
    • 発表場所
      東洋大学白山キャンパス、東京都文京区
    • 年月日
      2017-01-21 – 2017-01-21
  • [学会発表] 創傷治癒促進効果に関わるトコトリエノールの分子構造の検討2016

    • 著者名/発表者名
      堀越洋輔、中曽一裕、花木武彦、仲宗根正人、北川良憲、持田晋輔、松浦達也
    • 学会等名
      日本ビタミン学会第68回大会
    • 発表場所
      富山国際会議場、富山県富山市
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-17
  • [学会発表] ビタミンEによる極性制御因子の機能制御を介した創傷治癒促進効果2016

    • 著者名/発表者名
      堀越洋輔、中曽一裕、花木武彦、仲宗根正人、北川良憲、持田晋輔、松浦達也
    • 学会等名
      第57回日本生化学会 中国・四国支部例会
    • 発表場所
      高知大学岡豊キャンパス医学部実習棟看護学科棟、高知県南国市
    • 年月日
      2016-05-28 – 2016-05-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.tottori-u.ac.jp/medbioch/6000.html

  • [備考]

    • URL

      http://tottoritougoubunshi.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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