研究課題
本研究の目的は、新規無毛高度免疫不全マウス体内に「ヒトがん微小環境」を構築し、がん微小環境研究に供することを第一の目的とする。そして、がん微小環境等を標的とした新規治療法開発を第二の目的とする。胆管細胞癌腫瘍株の移植モデルマウスを用いて、肺転移・肝転移モデルを作成した。特にCD147を高発現させることで、上皮間葉転換が起こり、転移を促進することを示した。胆管癌細胞株をがん関連線維芽細胞と同時移植すると腫瘍形成が早まることから、胆管細胞癌においてはがん関連線維芽細胞が腫瘍増殖に重要な働きを示すことを見いだした。また、原発性滲出性リンパ腫(Primary effusion lymphoma;PEL)ではオートファジーが亢進しており、オートファジーを阻害するとERストレスが亢進してアポトーシスに陥ることを示した。更に、PELでは転写因子PU.1がメチル化により抑制されており、脱メチル化剤使用によりPU.1は再活性化し、インターフェロン関連遺伝子が活性化することでPEL細胞はアポ-トーシスに陥ることを証明した。原発性滲出性リンパ腫のマウスモデルを用いて、シコニンやクロロゲン酸などの薬剤の有効性を検証し、その作用機序を明らかにした。消化管間質腫瘍(Gatrointestinal stromal tumor; GIST)の手術サンプルを高度免疫不全マウス皮下に移植して、患者腫瘍組織移植モデル(Patient-derived xenografts; PDX)を作成中である。
2: おおむね順調に進展している
胆管細胞癌腫瘍株や原発性滲出性リンパ腫の移植モデルマウスを用いて、ある程度の成果を得た。患者腫瘍組織移植モデルを作成中であるが、各々樹立までに1年程度かかるので、確実に研究を遂行する予定である。熊本地震により飼育している高度免疫不全マウスが約半数が死亡したため、一時期移植実験が困難となった。現在ほぼ回復しており、精力的に移植実験を進める予定である。
胆管細胞癌および消化管間質腫瘍において、手術サンプルを高度免疫不全マウス皮下に移植して、様々な患者腫瘍組織移植モデル(Patient-derived xenografts; PDX)を作成する。また、その他の様々な腫瘍を用いてPDXモデルを樹立したいと考えている。PDXの樹立には長期間かかるので同時に細胞株の移植モデルを用いて、腫瘍およびがん微小環境を対象とした新規治療法の開発を行っていく予定である。
熊本地震により計画していた実験の遂行が遅れたため。特に飼育棚の倒壊によりマウス実験の中断が余儀なくされ、飼育しているマウスの約半数が死亡したため、その後のマウス実験の継続が困難となった。このため、マウス飼育費・投与する薬剤費。解析に要する費用が減った。
平成28年度に遅れた実験は、平成29年度と平成30年度に取り戻す予定である。それに伴い、研究費h、平成29年度と30年度で使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (4件)
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