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2016 年度 実施状況報告書

エピゲノム修飾因子の機能解析による小児固形腫瘍の発症機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K08745
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大喜多 肇  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (50317260)

研究分担者 清河 信敬  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 部長 (60195401)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード腫瘍 / 遺伝子発現
研究実績の概要

小児の腎には、腎芽腫(ウイルムス腫瘍)とともに腎明細胞肉腫(CCSK)、腎ラブドイド腫瘍(RTK)、間葉芽腎腫(CMN)等の腫瘍が発生する。CCSKは、2番目に頻度が高く、BCL6 corepressor (BCOR)のC末端近傍の約100塩基の重複(BCOR遺伝子内重複)を共通の遺伝子異常として有する。BCORはBCL6 corepressorとして単離された転写抑制因子であるが、近年はポリコーム複合体の要素としても機能することが示されている。同異常は、BCORの、特にポリコーム複合体の1つであるBCOR複合体(異性型PRC1)の形成に必要な機能ドメインを含む領域に存在することから、BCOR遺伝子内重複がCCSKのドライバー変異である可能性が極めて高いと考えられる。一方、近年、ユーイング肉腫に類似した小円形細胞肉腫の多くに、BCORとCCNB3の融合遺伝子が存在することが報告された。また、多くの小児がん・血液がんでBCOR遺伝子の機能喪失型変異が報告されている。本研究では、これらのBCOR変異・融合遺伝子による腫瘍発生機序解明を目的とした。HEK293細胞に野生型BCOR、BCOR遺伝子内重複、BCOR変異、BCOR-CCNB3を遺伝子導入し、形質転換能をColony formation assay、focus formation assay等で解析し、細胞増殖能をWST assayにて検討したところ、BCOR変異及びBCOR-CCNB3導入細胞では細胞増殖能低下が低下していた。CCSKに特徴的に高発現な遺伝子の発現解析をrealtime PCR法にて解析したところ、代表的な遺伝子にはBCORあるいはBCOR変異体高発現では有意な変化が認められず、NIH3T3細胞にても同様に有意な発現変化は認められなかった。BCOR遺伝子内重複、BCOR-CCNB3による腫瘍発生は、発生母地の細胞環境に依存する可能性もあり、今後、他の細胞種も含めて解析を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

HEK293細胞にmock、野生型BCOR、BCOR遺伝子内重複、BCOR変異、BCOR-CCNB3を遺伝子導入し、細胞増殖能をWST assayにて検討したところ、予想とは異なりBCOR変異及びBCOR-CCNB3導入細胞の細胞増殖能は低下した、また、現時点では、有意な形質転換能はみられていない。そのため、網羅的な遺伝子発現解析の前に、発現変化が予想されるCCSKで特徴的な遺伝子群の発現解析を先行させたところ、代表的な遺伝子群には有意な変化は認められなかった。NIH3T3細胞にも同様の遺伝子を導入したが、同様の結果であった。BCOR遺伝子内重複、BCOR-CCNB3による腫瘍発生は、細胞環境に依存する可能性が考えられ、そのため、当初予定していた網羅的遺伝子発現解析を延期し、さらに他の細胞株による解析も含めて考慮中のため、研究の進行がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

BCOR変異、BCOR-CCNB3により、HEK293細胞の細胞増殖能が低下する等、腫瘍形成能は発生母地の細胞環境に依存する可能性が予想されるめ、BCORのパートナーであることが想定されるBCL6, PCGFの発現状況も検討し、腎や間葉系細胞にこだわらず、細胞実験系の検討を進める。その上で、形質転換能、遺伝子発現解析、ヒストン解析等のエピジェネティクス解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度に予定していた網羅的遺伝子発現解析を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本年度に予定していた網羅的遺伝子発現解析を、次年度に実施予定であり、次年度使用額をあてる予定である。次年度分として請求した助成金は、当初の予定通り、次年度分としてヒストン修飾解析等に使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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