研究課題/領域番号 |
16K08759
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20379093)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | マラリア原虫 / 感染赤血球 / 血清タンパク質 / 取り込み現象 |
研究実績の概要 |
マラリア原虫感染赤血球抽出液と培養に用いた血清をショットガンLC-MS/MSにより網羅的に解析し、各血清タンパク質の感染赤血球に取り込まれた量と血清中の量とを比較した。これにより、取り込み率が顕著に高い血清タンパク質が約10種類見出せた。これらの血清タンパク質について抗体を購入し、ウェスタンブロッティングによっても再確認した。その結果、顕著に取り込みの率の高かったタンパク質を3種同定できた。これらのタンパク質の中には我々がすでに取り込まれていることを見出しているヴィトロネクチンが含まれていた。これらの結果から、取り込み現象は単純な拡散反応ではなく、選択的な現象であることが明らかになった、一方、取り込まれるタンパク質間において、機能、モチーフ等の顕著な特徴は見出されなかった。 取り込みに必要な血清因子の同定を試みた。これまでにリポタンパク質欠損血清を用いた取り込み実験において、ヴィトロネクチンの取り込みが起こらないことを見出している。そこで、高比重リポタンパク質(HDL)、低比重リポタンパク質(LDL)をリポタンパク質欠損血清に添加した後マラリア原虫を培養し、血清タンパク質の取り込みが回復するか確認した。しかし回復は認められなかった。 赤血球膜の変化について、ホスファチジルセリンが細胞膜外層へ露出しているか検討した。蛍光顕微鏡、FACSにより観察したが、顕著な変化は認められなかった。 その他、アクチン重合阻害剤等を添加した後、血清タンパク質の取り込みを観察した。取り込み現象にアクチンの重合は関与していなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験はおおむね実施し、当初想定していた以上の知見を得た。一方、血清タンパク質の取り込みに必要な宿主因子は当初想定していた因子ではないことが明らかとなり、取り込みに必要な宿主因子の同定には至らなかった。研究の方向性を再検討する必要があることがわかってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
取り込みに必要な宿主因子の同定を行う。同定後、同定した因子を中心とした取り込みメカニズムの解明に向けた研究の推進方策を検討する必要がある。
|