研究課題
基盤研究(C)
世界三大感染症の一つあるマラリア感染症では免疫が減弱され、免疫記憶ができにくいことが知られている。今のところ、抗マラリア免疫を増強する手段は明らかではない。本研究では、経口糖尿病治療薬メトホルミンの新たな効能として抗寄生虫防御免疫増強作用を発見し、その機序を解析した。マウスモデルを用いた研究により、メトホルミンはγδT細胞の糖代謝に影響を及ぼさないが、S6蛋白質のリン酸化を維持し、その増殖を促すことを明らかにした。これにより、メトホルミンの免疫細胞に対する新規の作用機序を示すことができた。
感染免疫学
マラリア感染症に対して免疫記憶ができにくく、現在までに有効なワクチンはない。さらに耐性菌の出現することにより、開発した抗マラリア薬もすぐに使えなくなってしまう。このようなことから、マラリア原虫に対する免疫応答増強法の確立は、マラリア撲滅に向けた戦略の一つであると考えられる。本研究では、メトホルミンがγδT増殖を増強することを明らかにし、撲滅に一歩近づけたと考えている。