研究実績の概要 |
①野生型マウス(B6)とIL-27欠損マウス(p28KO)のPlasmodium berghei ANKA(PbA)感染および治療中におけるCD4T細胞を経時的に解析した。活性化状態(CD44, CD62L, CD25, CD69, CD127, KLRG1)について両者で差は認められず、ターミナルエフェクター細胞やメモリー前駆細胞への分化の違いはなかった。しかしながら、治療開始後においてAnnexinV陽性のアポトーシス細胞がB6で増加するのに対し、p28KOマウスでは治療前後で変動しなかった。この結果は、治療後に野生型マウスでCD4T細胞の数が著しく減少する結果(申請書に記載)と一致しており、マラリア原虫感染では、IL-27依存的にCD4T細胞が急速に死滅し、免疫記憶が維持されないことが示唆された。 ②IL-27による記憶T細胞成立の阻害が、直接的・間接的どちらであるのか検証するために、OVA323-339エピトープを認識するT細胞受容体トランスジェニックマウス(OT-II)をIL-27受容体欠損マウス(WSX1KO)バックグラウンドにかけ戻してWSX1KOOT-IIマウスを作成した。OT-II(CD45.1)とWSX1KOOT-II(CD45.1/45.2)のCD4T細胞を、B6(CD45.2)に受け身移入し、モデル抗原OVAを発現する組換えPbA(PbA-OVA)を感染・治療させた。OT-II細胞の割合、細胞表面分子の発現やアポトーシス細胞について調査した。その結果、移入した両OT-II細胞は治療後細胞死を起こし同様に減少した。野生型マウス体内ではWSX1KOOT-IIが生存出来なかったことから、サイトカイン等のT細胞周囲の環境が重要であることが明らかとなった。IL-27直接的な要因はこの結果からは明らかには出来ておらず、受け身マウスをWSX1KOに変えて検証する。
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