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2017 年度 実施状況報告書

マラリア原虫感染における免疫記憶抑制 -IL-27依存的メカニズムの解明-

研究課題

研究課題/領域番号 16K08763
研究機関長崎大学

研究代表者

木村 大輔  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50423637)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードマラリア / 記憶CD4T細胞 / IL-27 / アポトーシス / 記憶B細胞 / 特異抗体
研究実績の概要

IL-27はp28とEBI-3の二量体であるため、これまでIL-27欠損マウスとしてp28-/-を使用して検討してきた。しかし、p28は単独でIL-30でもあることから、これまでの結果をIL-27受容体欠損マウス(WSX1-/-)でも検討した。その結果、p28-/-と同様にWSX1-/-でもマラリア原虫Plasmodium berghei ANK(PbA)感染・治療後において、CD4Tの消失は阻止された。このことから、IL-27が記憶CD4T細胞の分化や維持を制御していることが確認できた。さらに、この確認実験の中で、濾胞ヘルパーT細胞(CXCR5+PD-1+)がWSX1-/-で増加していることが明らかとなった。これに伴って胚中心B細胞や形質細胞もWSX1-/-でより多く分化し、治療後も長く維持されていることが新たに明らかとなった。この結果は、野生型マウスではPbA特異的抗体が認められないのに対し、IL-27欠損マウスでは高値で検出された過去の結果と一致し、IL-27欠損マウスがPbA再感染防御を示す一因と考えられた。
昨年の結果からIL-27が間接的に記憶CD4T細胞を制御している可能性が示唆された。IL-27が間接的に記憶CD4T細胞を制御している可能性として、IL-2について着目した。すなわち、IL-27はCD4T細胞のIL-2産生を抑制することや、IL-2は記憶T細胞の分化や再活性化に必要であることの理由からである。そこで、野生型マウスにPbA感染・治療を行う間リコンビナントIL-2(rIL-2)を投与して非投与群と比較検討した。その結果、rIL-2投与によりPbA特異的CD4T細胞は増加したが、治療中におけるアポトーシスの割合は変化なく、結果記憶CD4T細胞は維持されなかった。今後はIL-7やIL-15など記憶細胞維持に関連するほかのサイトカインについても検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在まで、研究計画調書どおり進めることが出来ており、IL-27による記憶CD4T細胞制御機構について、間接的関与の観点から検討してきた。今回、IL-27の下流で働く因子として有力であると考えていたIL-2の可能性が否定されたが、すでに他の可能性について検討する段階に進んでおり、前進していると考えている。
また、今回新たにB細胞の分化についても明らかにすることができ、IL-27による再感染防御能の制御機構について新たな可能性を見出すことが出来た。
さらに現在、抗原特異的T細胞についてモニターするため、マラリア原虫抗原特異的T細胞受容体を発現するトランスジェニックマウス(PbT-II)も導入済みで、新たな検証も進めている。

今後の研究の推進方策

IL-27による記憶CD4T細胞抑制については、予定通りに進んでおりこのまま解析を続ける。
B細胞の分化にも違いがあることが明らかとなったので、この違いがCD4T細胞依存的かどうかや、再感染防御における役割についてさらに解析する。
記憶細胞維持を抑制するIL-27の産生細胞を明らかにするために、昨年度の報告においてコンディショナルノックアウトマウスを導入するとしたが、マウスのクリーニング作業により遅れていたため今年度に行う。

次年度使用額が生じた理由

年度末に複数の学会参加を予定していたため、予め計算していたが差額が生じたため。
次年度使用計画としては、少額であり旅費の一部として使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] IL-27による免疫抑制2017

    • 著者名/発表者名
      吉田裕樹、木村大輔、由井克之
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 6 ページ: 23-29

  • [雑誌論文] CLINICAL TOPICS:マラリア原虫感染とT細胞反応2017

    • 著者名/発表者名
      都田真奈、木村大輔
    • 雑誌名

      別冊 BIO Clinica

      巻: 6 ページ: 134-137

  • [学会発表] Interleukin-27 dependent loss of memory CD4+ T-cells after malaria infection2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kimura, Mana Miyakoda, Odsuren Sukhbaatar, Sayuri Nakamae, Ganchimeg Bayarsaikhan, Kazumi Kimura, Hiromitsu Hara, Hiroki Yoshida, Katsuyuki Yui
    • 学会等名
      第11回寄生虫感染免疫研究会
  • [学会発表] マラリア原虫治癒後におけるIL-27依存的免疫記憶CD4+T細胞の消失2018

    • 著者名/発表者名
      木村大輔、都田真奈、Ganchimeg Bayarsaikhan、中前早百合、Odsuren Sukhbaatar、木村一美、原博満、吉田裕樹、由井克之
    • 学会等名
      第87回日本寄生虫学会大会
  • [学会発表] Interleukin-27 regulate the function CD4+ T cells during malaria infection2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kimura
    • 学会等名
      第91回日本細菌学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] Interleukin-27 inhibits the generation of memory CD4+ T cells after treatment with anti-malarial drug2017

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kimura
    • 学会等名
      The 13th Nagasaki-Singapore Medical Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マラリア原虫治癒後における免疫記憶消失はIL-27依存的である2017

    • 著者名/発表者名
      木村大輔、都田真奈、Akbari Masoud、木村一美、原博満、吉田裕樹、由井克之
    • 学会等名
      第86回日本寄生虫学会大会
  • [学会発表] nterleukin-27 inhibits the generation of memory CD4+ T cells during malaria infection2017

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kimura, Mana Miyakoda, Ganchimeg Bayarsaikhan, Sayuri Nakamae, Odsuren Sukhbaatar, Kazumi Kimura, Hiromitsu Hara, Hiroki Yoshida, Katsuyuki Yui
    • 学会等名
      The 5th Annual Meeting of the International Cytokine and Interferon Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Interleukin-27-dependent loss of CD4+ T cell-memory during malaria infection2017

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kimura, Mana Miyakoda, Ganchimeg Bayarsaikhan, Sayuri Nakamae, Odsuren Sukhbaatar, Kazumi Kimura, Hiromitsu Hara, Hiroki Yoshida, Katsuyuki Yui
    • 学会等名
      第46回日本免疫学会総会・学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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