寄生虫感染症のマラリアに対しては防御免疫が起こりづらい。その理由のひとつに、マラリア原虫による免疫細胞の機能抑制が挙げられるが、メカニズムは十分に理解されていない。本研究では、マラリアで免疫抑制される宿主の因子と免疫細胞を解析した。その結果、マラリア原虫感染マウスの脾臓において、免疫応答で中心的な役割を果たす樹状細胞(DC)の割合が、DCの分化に重要な転写因子IRF8の発現低下とともに減少していること、そしてDCの中でもとくにXCR1陽性細胞が減少していることを見出した。このようにして、マラリア原虫はDCを標的として分化・機能阻害を起こし、免疫抑制を起こしていることが示唆された。
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