研究課題
赤痢アメーバにおいて小胞体から細胞表面へ輸送されるメカニズムを解明するため、Rab8A GTPase依存的に輸送される表面タンパク質の同定を試みた。まず、GTP固定型のRab8A-Q66L変異を発現する株の表面のビオチン化を行った。Rab8A-Q66L発現株は、赤血球への接着能が減少することが以前報告しているため、接着に必要な細胞表面タンパク質が提示できなくなっていることが予想された。ビオチン化タンパク質をストレプトアビジンビーズで精製し、銀染色を行ったところ、陰性対照の野生株に比較して、みかけの分子量30kDa のタンパク質がRab8A-Q66Lで減少していることが分かった。質量解析によって30kDaのタンパク質の同定を試みたところ、312アミノ酸残基のEHI_159620を候補として得た。EHI_159620の分子量は35.3kDaであり、シグナルペプチドや膜貫通領域が無く、一見、可溶性タンパク質であった。しかし、2番目のアミノ酸にグリシンが存在し、N-ミリストイル化修飾の可能性が考えられた。以前、ドイツのIris Bruchhausのグループが赤痢アメーバの細胞表面タンパク質の網羅的同定を報告しており、その中でEHI_159620は細胞表面に輸送されるタンパク質としての報告があった。EHI_159620の発現抑制株を作製したところ、赤血球の接着が低下した。よって、Rab8A依存的に輸送される表面接着に関与する新規のタンパク質が同定できた。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 19 (12) ページ: pii: E3831
10.3390/ijms19123831