研究課題
最近、非典型的なLEE-negative 腸管出血性大腸菌(EHEC) (O157型以外)感染による重症化例が世界的に増加傾向にある。このLEE-negative EHECは2型志賀毒素に加え、小胞体ストレス誘導毒素 Subtilase cytotoxin (SubAB) を産生する。SubABは、細胞内に侵入後、シャペロンタンパク質である GRP78/BiP を特異的に切断することで、小胞体ストレスセンサータンパク質PERKを活性化し、アポトーシスを誘導する。臨床で使用、またはトライアル中の薬剤の中で、SubABの細胞障害性を阻害する薬剤として、PKC活性化剤(bryostatin 1, ingenol-3-angelate)がBax/Bak の構造変化を阻害し、SubABやStx2によるアポトーシスを抑制することを明らかにした。また、デキサメタゾンなどのステロイド剤が、宿主細胞内のステロイド受容体を介して抗アポトーシスタンパク質 Bcl-xL の発現増強を促し、SubABによるアポトーシスを阻害することを見いだした。これらの薬剤は、マウス腸管オルガノイドでは、毒素の細胞致死活性阻害を示さなかった。薬剤に対するヒトとマウスの応答反応の違いが原因と推察された。また、ERストレス阻害剤であるPBAは、SubABの細胞致死活性を阻害しなかった。更に、CRISPER/CAS9 KO 細胞による、SubAB細胞致死耐性細胞スクリーニング解析から、糖鎖修飾酵素欠失細胞が耐性であることが明らかになり、SubABの受容体が糖鎖である裏付けが取れた。他に、新規な細胞内蛋白質が細胞致死に関与することも明にした。これらの結果をまとめ、現在、投稿中である。
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Scientific Reports
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