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2016 年度 実施状況報告書

糖尿病由来CA-MRSA-ST8-SCCmecIVl株の侵襲性感染症に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K08777
研究機関広島大学

研究代表者

菅井 基行  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10201568)

研究分担者 久恒 順三  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40513180)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードCA-MRSA / ST8 / TSST-1
研究実績の概要

(1)①ゲノタイピング 臨床検査センターより皮膚感染症由来のStaphylococcus aureusの分与を受け、ゲノタイピングを行いCA-MRSA-ST8-SCCmecⅣl株の分離頻度を調査した。皮膚感染症由来410株のうちST8に属する株が17.6%で褥瘡、開放膿、非開放膿の順で検出され、特に褥瘡、開放膿で多かった。全体に占めるST8-SCCmecⅣlは4.6%、ST8全体の26.4%がST8-SCCmecⅣlであった。またST8-SCCmecⅣlの57.9%がTSST-1, SEC, SE1 (旧SEZ), EDINA遺伝子を保有していた。またST8のうちmecAを保有しないが、TSST-1, SECを産生し、一部はSE1, EDINAをも産生する株がST8全体の18.1%を占めた。②系統解析 ST8系統には米国での代表的なCA-MRSA株USA300が属する。ST8系統のcore genomeを用いて系統解析を行った結果、我が国で分離されているCA-MRSA-ST8-SCCmecⅣlは異なるcladeに属することが明らかとなった。
(2)各種スーパー抗原の定量法 TSST-1に関しては従来ラテックス凝集アッセイ法を用いてきたが、抗原以外のものとの反応性、定量性に欠ける点からELISA法に転換した。SE1(旧SEZ)については組換え体SE1を用いてポリクローナル抗体から抗原特異的IgGを精製し、EZ-linkを用いてHRPと結合させ、SE1特異的HRP conjugated IgGを調整した。SE1特異的HRP conjugated IgGを用いたELISAシステムでは0.2-5.0 ugのSE1を検出することができ既存の他のSEとは交差反応を示さない。これにより高感度でSE1を検出するELISAシステムを構築できたと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①(1)(2)については順調な進捗を示している。(3)GWAS法を用いた糖不応答性に寄与する因子の探索 ST8-SCCmecⅣlはTSST-1高産生性を示し、ST5系統とは明らかに異なる性質を示す。このTSST-1産生性の違いを明らかにするためにGWAS解析を実施した。GWAS解析には異なる形質を示すゲノム集団間でその形質と関連する遺伝子あるいはDNA領域をあぶり出す手法であるが、私どもが当初採用したラテックス凝集アッセイ法がTSST-1の定量性に欠けたため、集団として指定した菌株グループが適切ではなかったため、TSST-1の高産生、低産生と関連する遺伝子あるいはDNA領域の特定に至らなかった。この点に関しては改めてELISA法を用いた定量化により、再度、グループの指定のやり直しを検討しており若干遅れていると判断した。②(1)CcpAの発現量については未実施である。SasLについては欠損株は作製したが、形質の変化は確認できなかった。(2)これも上記の集団の設定の仕方に問題があるため、あらためて再評価する予定である。(3)pEDIN-Aの不応答性への影響については今期には実施できなかった。

今後の研究の推進方策

GWAS解析についてはELISAによるTSST-1の産生性評価を行い、新たな集団を特定し、集団間でのGWAS解析を行う予定である。特徴を示す遺伝子あるいはDNA領域を見出した場合はその遺伝子欠損株を作成し、さらに相同組換えやCRIPR/Casシステムを用いて変異株を作成する。また分離株と糖尿病との関係については菌株数が限られているため、さらに菌株収集を継続し、改めて検討する予定である。
平成29年度に平成28年度に積み残したCcpAの発現実験、CRISPRiによるpEDIN-Aの脱落実験を追加で予定する。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度にCcpAの定量PCRと糖不応答性と pEDIN-A との関連性を明らかにするために、CRISPR interference (CRISPRi)技術を用いて、Rep 遺伝子を標的とし、プラスミドの複製を阻止する事でpEDIN-A 欠落株の作製を予定していた。しかし、ゲノム解析、SE1 ELISAの構築に思いの外時間を取り、CRISPR実験にとりかかれなかった。また予定していた学会に参加できなかった。

次年度使用額の使用計画

表記の実験のためと学会参加に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] MRSAのすべて-疫学・病態から治療・対策まで-2017

    • 著者名/発表者名
      菅井基行
    • 学会等名
      第32回日本環境感染学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2017-02-24
    • 招待講演
  • [学会発表] 侵襲性感染症由来Staphylococcus aureusが保有する表皮細胞分化抑制因子EDINA-エンテロトキシンSEZプラスミドの解析2016

    • 著者名/発表者名
      久恒順三、増田加奈子、佐藤祐介、萩谷英大、澤佳奈、水谷哲、寺地つね子、胡東良、大毛宏喜、菅井基行
    • 学会等名
      第86回日本感染症学会西日本地方会学術集会・第59回日本感染症学会中日本地方会学術集会・第64回日本化学療法学会西日本支部総会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-11-24
  • [学会発表] 西日本における皮膚感染症由来Staphylcococcus aureusの分子疫学2016

    • 著者名/発表者名
      増田加奈子、久恒順三、大毛宏喜、菅井基行
    • 学会等名
      第86回日本感染症学会西日本地方会学術集会・第59回日本感染症学会中日本地方会学術集会・第64回日本化学療法学会西日本支部総会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-11-24
  • [学会発表] 西日本における皮膚感染症由来Staphylococcus aureusの分子疫学2016

    • 著者名/発表者名
      増田加奈子、久恒順三、高橋伸、奥原俊彦、大毛宏喜、菅井基行
    • 学会等名
      第69回日本細菌学会中国・四国支部総会
    • 発表場所
      サンポート高松
    • 年月日
      2016-10-15
  • [学会発表] Molecular characterization of S. aureus isolated from skin infection in West Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Kanako Masuda, Junzo Hisatsune, Motoyuki Sugai
    • 学会等名
      ISSSI 2016 Seoul
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      2016-09-01
    • 国際学会
  • [学会発表] Catalogue of Japan clones, clinically isolated Staphylococcus aureus in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Motoyuki Sugai, Junzo Hisatsune, Hitoshi Komatsuzawa, Takayuki Yamaguchi, Fuminori Kato, Yusuke Sato, Hideki Hirakawa, Ikuo Uchiyama, Naomasa Gotoh, Kosuke Tashiro, Satoru Kuhara
    • 学会等名
      ISSSI 2016 Seoul
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      2016-09-01
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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