研究課題
基盤研究(C)
本研究では、健康なヒトに常在する大腸菌のO抗原型の特徴を明らかにすることと、それらの情報を利用してO抗原糖鎖の機能性を明らかにすることを目的とした。健康人由来大腸菌312株とPCR法によるO抗原型フルタイピングの結果、OgGp10(O13、O129、O135を含むグループ)、Og1、Og25が主要型であることが明らかとなった。また、O1、O25、O157を含む7種類のO抗原型株を用いたマクロファージ様細胞からのTNF-α産生量を測定した結果、O157で誘導能が顕著に低いことが明らかとなった。
細菌学
グラム陰性細菌の表層にはO抗原と呼ばれる糖鎖が発現しており、これまでに180種類以上あることが知られている。本研究では、この糖鎖に何らかの機能性があるのではないかと考え、ヒト常在大腸菌に見られる型と病原性大腸菌に見られる型を用いて、免疫細胞の反応性を試験した。その結果、腸管出血性大腸菌で有名なO157型は、他の型に比べて免疫反応を誘導しにくいことが明らかとなった。この成果は、今後の腸管出血性大腸菌の感染メカニズの解明や治療法の開発に役立つかもしれない。