研究課題
Helicobacter pylori(以降,ピロリ菌)が、ヒトの胃へ特異的に感染するのに対し、Helicobacter suis(以降ハイルマニイ菌)は、人獣共通感染細菌である。ハイルマニイ菌感染症対策として、以下の研究を行った。1. ハイルマニイ菌特異的な外膜蛋白質(HsvAと命名)を標的とした感染診断キットの開発HsvA蛋白質の抗原部位を検索し、抗原ペプチド(14-mer)を新たに6本合成した(合計27本)。研究協力病院からの患者血清を用いて、各々のペプチドを抗原としたELISAを行った。全ての抗原ペプチドは、反応性に差があるもののハイルマニイ菌感染者の血清(1800倍希釈)のみと反応し、ピロリ菌感染者や非感染者の血清(1800倍希釈)とは、反応しなかった。高反応性のペプチドを10本選び、それぞれに対するELISAプレートリーダーでの吸光度(TMB由来色素の吸光波長の450 nmの吸収)0.5以上をハイルマニイ菌感染陽性、それ以下を陰性とした。更に高反応性の抗原ペプチドに対するポリクローナル抗体を新たに3種類作製した(合計6種類)。新規に作製した抗ペプチド抗体は、ピロリ菌体とは全く反応せず、ハイルマニイ菌体と特異的に反応した。また、胃癌患者の胃切片中のハイルマニイ菌と反応した。便中の菌体の検出実験は、倫理規定から平成31年度に持ち越された。マウスに感染させたハイルマニイ菌の培養に成功した。2. 狭域スペクトルの抗ヘリコバクター剤の開発約50種類の希少脂肪酸のin vitroにおけるピロリ菌発育阻害実験から、ヘリコバクター特異的なメナキノン生合成経路(フタロシン経路)を阻害する脂肪酸を選択した。更にマウスを用いた感染実験により、これまで最も阻害活性が強かった水酸化脂肪酸と同等の阻害活性をもつ脂肪酸を発見した。
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