• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

分泌型の制御因子BspRの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08786
研究機関北里大学

研究代表者

阿部 章夫  北里大学, 感染制御科学府, 教授 (50184205)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードボルデテラ属細菌 / 百日咳菌 / 気管支敗血症菌 / III型分泌装置 / エフェクター / BspR / Bcr4
研究実績の概要

百日咳菌ならびに気管支敗血症菌は,III型分泌装置を介してエフェクターとよばれる病原因子を宿主細胞内に注入することで気道での長期定着を確立している。これまでの研究にて,BspRはIII型分泌装置を介して宿主細胞の核に移行すること,その一方で,菌体内においては負の制御因子として機能することを見出してきた。本研究の目的は,BspRのエフェクターならびに制御因子としての二面性を詳細に解析することで,ボルデテラ属細菌の感染制御機構を明らかにしようとするものである。
BspRの機能を解析するためには,BspR欠損株にプラスミドにコードされるBspR (様々な変異をもつ)で相補して機能解析するのが一般的である。しかし,菌体内でマルチコピーで発現したBspRは,III型分泌装置の機能を強く抑制することを見い出した。一方,III型分泌装置の構成に関わるタンパク質をコードするbsc遺伝子座には機能未知タンパク質であるBcr4がコードされているがこの遺伝子の欠損では,III型分泌タンパク質の菌体外分泌が認められず,また,菌体内でのIII型分泌タンパク質の産生量も低下していた。興味深いことに,ΔBcr4ΔBspRの二重欠損株は,ΔBcr4と同様にIII型分泌タンパク質の分泌が阻害されるが,III型分泌タンパク質の産生量はΔBspRと同程度であった。以上の結果,III型分泌装置の機能が阻害されると,BspRによる負の制御がより強く働くことを明らかにした。また,Bcr4は,III型分泌装置の構成タンパク質のシャペロンとして機能することがプルダウンアッセイにて示唆された。
今後は,BspRならびにBcr4によるIII型分泌装置の制御機構を解析することで,エフェクター輸送のメカニズムをより詳細に調べることを計画している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Tandem tyrosine phosphosites in the Enteropathogenic Escherichia coli chaperone CesT are required for differential type III effector translocation and virulence2018

    • 著者名/発表者名
      Runte Cameron S., Jain Umang, Getz Landon J., Secord Sabrina, Kuwae Asaomi, Abe Akio, LeBlanc Jason J., Stadnyk Andrew W., Kaper James B., Hansen Anne-Marie, Thomas Nikhil A.
    • 雑誌名

      Molecular Microbiology

      巻: 108 ページ: 536-550

    • DOI

      10.1111/mmi.13948

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Bordetella bronchiseptica Bcr4 antagonizes the negative regulatory function of BspR via its role in type III secretion2018

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Ryutaro, Abe Akio, Sakuma Yusuke, Kuwae Asaomi
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: 62 ページ: 743-754

    • DOI

      10.1111/1348-0421.12659

    • 査読あり
  • [学会発表] Bordetella属菌が産生するBspRとBcr4によるIII型分泌機構の制御2018

    • 著者名/発表者名
      桑江朝臣,阿部章夫
    • 学会等名
      第161回日本獣医学会学術集会
  • [備考] 北里大学大学院感染制御科学府・細菌感染制御学研究室HP

    • URL

      https://sites.google.com/view/abe-lab/home

  • [備考] リサーチマップ

    • URL

      https://researchmap.jp/akioabe/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi