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2017 年度 実施状況報告書

無莢膜型インフルエンザ菌の血中侵入機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K08796
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

大石 和徳  国立感染症研究所, 感染症疫学センター, センター長 (80160414)

研究分担者 中村 茂樹  国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (20399752)
村上 光一  国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 室長 (70446839)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードインフルエンザ菌 / 無莢膜株 / 血清抵抗性 / 補体感受性 / 病原性 / 侵襲性インフルエンザ菌感染症 / 肺炎
研究実績の概要

菌血症を伴う肺炎患者の血液由来の侵襲性NTHi(20株)、菌血症を伴わない肺炎患者の喀痰由来の非侵襲性NTHi(21株)について、試験管内で血清感受性試験(Serum bactericidal assay; SBA)を実施した。侵襲性、非侵襲性株間におけるSBA (Log killing)には、侵襲性株(中央値:0.95, range 0.2~4.3)、非侵襲性(中央値:1.55, range 0.3~4.1)間で有意差を認めなかった。本結果から、本研究において侵襲性NTHi株は血清抵抗性であるとする仮説は否定された。また、非侵襲性NTHi株にも血清抵抗性株が存在することが明らかとなった。
さらに、血清抵抗性に相関するとされるvacJとSBAとの相関を検討したが、相関は認められなかった。以上より、本研究で課題とした近年その増加が注目されている「無莢膜インフルエンザ菌」の血中侵入は、菌の補体抵抗性因子の獲得によって説明できないと結論された。
一方、侵襲性NTHi株と非侵襲性NTHi株のゲノム比較解析を実施した。供試した分離株は、多種類のsequence type (ST)型に属し、コアゲノム上の塩基置換情報(SNV)を用いた系統解析及び、パンゲノム解析共に、侵襲性・非侵襲性株それぞれで共通する因子は確認されなかった。
しかしながら、同一ST型(ST159及びST34)内で、遺伝的系統関係が非常に近縁であるが、侵襲性・非侵襲性株を共に含んでいることが明らかとなった。これらの同一STの株を用いて侵襲性・非侵襲性、及び、血清抵抗性に関連する変異及び外来獲得因子を探索することで、表現形質との関係性を探索する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト正常血清を補体源として血清感受性試験のアッセイ系を立ち上げ、補体殺菌の定量的な測定を可能にした。時間を要し、ゲノム解析の着手が遅れ、平成29年度後半に結果が得られた。このため、侵襲性・非侵襲性株間の比較ゲノム解析の方針お決定が遅れてしまった。

今後の研究の推進方策

本研究において侵襲性NTHi株は血清抵抗性であるとする仮説は否定されたことから、上記系統株の完全長ゲノム配列を取得し、より詳細な変異箇所の比較ゲノム解析を行う予定である。また、トランスクリプトーム解析も行い、vacJのみならず、血清抵抗性に関わる因子の探索を行う。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度中に実験用消耗品を新たに購入することなく、血清抵抗性遺伝子と侵襲性および非侵襲性インフルエンザ菌(NTHi)株との関連性についての結論を導くことができたため。平成30年度には計画通り血清抵抗性関連遺伝子群以外で侵襲性インフルエンザ菌(NTHi)株の血清抵抗性に関与する遺伝子が検出し、これらの遺伝子の血清抵抗性獲得機序について検討を進める。

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公開日: 2018-12-17  

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