研究課題/領域番号 |
16K08797
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
小泉 信夫 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10333361)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レプトスピラ / 維持宿主 / 持続感染 |
研究実績の概要 |
人獣共通感染症であるレプトスピラ症の病原体レプトスピラは,維持宿主動物と呼ばれる哺乳動物の腎臓に持続感染している.持続感染の成立には,①細胞バリアを貫通して血流に侵入し,②血液の殺菌機構に抵抗して腎臓に到達し,③腎臓に定着をする必要があるが,これらの感染ステップに必須のレプトスピラ因子はほとんど明らかになっていない.本研究は,トランスポゾン挿入変異法によりゲノムワイドなレプトスピラランダム変異体ライブラリーを作製して維持宿主動物の感染実験を行い,腎臓に定着できない変異体を同定することにより,レプトスピラの維持宿主における持続感染機構の分子基盤を総合的に解明することを目的とする. 既存のトランスポゾン挿入変異法の改変を行うことで,L. interrogans血清型Manilaeの形質転換効率を500倍向上させることができ,ゲノムワイドなライブラリー作製法を確立した.10の5乗~8乗細胞のManilae株を維持宿主であるラット(WKAH/Hkm)に腹腔内接種し,感染21および28日後の腎臓の定着を調査した結果,10の7乗細胞以上で感染が成立することが明らかとなった.しかしながら,各細胞数・感染後日の腎臓定着の結果が一定せず,大規模な変異体スクリーニングを行うことができなかった.今後ラットの系統を変更するとともに,マウス維持感染モデルが利用できるかを調査し,Manilae株の腎臓定着モデルを確立し,変異体ライブラリーのスクリーニングを行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ラットの感染実験の結果が安定せず大規模なスクリーニングを行うことができないため.今後動物種を変えることも検討する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
Manilae株の持続感染モデルを確立するために,他のラット系統(Wistar)やマウス(BALB/c)持続感染モデルが本株で利用できるかを調査する.確立した持続感染モデルを用いて,感染21あるいは28日後の腎臓に定着できない変異体のトランスポゾン挿入位置をMiSeqにより同定する(TraDIS法).同定された変異体の,①培養細胞monolayer通過性,②血清耐性(補体耐性),③腎上皮培養細胞への接着能を確認し,感染のどのステップに欠損があるかを明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
感染実験の条件検討を完了することができず大規模なスクリーニングを行うことができなかったため.また一部については,年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため,当該支出分については次年度の実支出額に計上予定.
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次年度使用額の使用計画 |
感染実験条件を確立し早急に大規模スクリーニングを行う.また当該支出分については上記の通り.
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