肺炎球菌 は鼻咽頭に常在す る日和見細菌だが、小児や高齢者では菌血症・髄膜炎といった致死性の 高い侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を引き起こす。IPD発症時には、菌は物理的バリアーとして機能している 鼻咽頭上皮層を突破するが、上皮細胞など非貪食細胞内での肺炎 球菌の動態は不明な点が多い。今回我々は、肺炎球菌が誘 導するオートファジーについて解析を行い、感染1時間後という 感染初期にはFIP200非依存的なLAPosome (LC3- associated phagosomes)様vesicle(PcLV)が一過性に 誘導され、感染2時間後にはFIP200依存的な Xenophagy(PcAV)が誘導されること、PcAVの誘導にはPcLVの誘導が必要なこと、さらに、肺炎球菌誘導性オートファジーは、PcLV とPcAVとその間に誘導されるNDP52-delocalized PcLVの 3層性であり、NDP52-delocalized PcLV誘導にはFIP200 とAtg14Lが必要であることを見出した。また、 PcLVP誘導では p62とNDP52が相互依存的に機能しており、さらにp62と Atg16L1はAtg16L1のWDドメインを介して相互作用してい た。そこで、p62側のドメイン解析を行った結 果、p62のUBAドメインおよびTRAF6結合ドメインが Atg16L1との結合に必要であり、TRAF6依存的にAtg16L1やp62との結合が増強することを見出した。実際にTRAF6結合不全 p62で相補したp62 KO MEFやTRAF6 KO MEFではPcLVの 減弱が認められた。以上の結果から、感染1時間後という感染初 期に一過性に誘導されるFIP200非依存的PcLVの誘導機構やそ の意義の一端が明らかになった。 た。
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