これまでに研究代表者は腎症候性出血熱のマウスモデルを開発し、その病態発現にCD8陽性T細胞が関与することを明らかにした。本研究では強毒および弱毒株を用い、ウイルスの動態と宿主応答を比較解析し、病態発現メカニズムの解明を試みた。その結果、強毒株感染マウスではウイルス特異的細胞傷害性T細胞 (CTL) の活性化とともに、一部のCTLの機能抑制や細胞死が起こるが、新しいCTLの遊走も起こり、全体としてはCTLの活性が高い状態になっていることが示唆された。また、強毒株感染マウスではCTLの攻撃対象となるウイルス抗原の量が多く、排除も遅いためCTLによる攻撃が強く長く続き腎出血が起きていると考えられた。
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