研究課題/領域番号 |
16K08811
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神谷 亘 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (60551421)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | コロナウイルス / 遺伝子操作系 / 組換えウイルス |
研究実績の概要 |
コロナウイルスは、家畜および伴侶動物において神経系・消化器系・呼吸器系疾患を引き起こす感染症である。コロナウイルスは一般的にその感染宿主域は狭く、固有の動物種のみに感染する。2012年に発生した中東呼吸器症候群(MERS)はヒトに重篤な肺炎を引き起こし、その原因病原体はMERSコロナウイルスである。現在もサウジアラビア王国を含む中東地域ではMERSコロナウイルスの感染は拡大しており、日本にもMERSコロナウイルスが入ってくる可能性は否定できない。コロナウイルスはRNAウイルスの中でも最長の塩基配列を有するエンベロープウイルスである。そのため、ウイルスゲノムに任意の変異を導入できる遺伝子操作系が煩雑で困難となる。そこで、我々は細菌人工染色体を用いてMERSコロナウイルスの遺伝子操作系の確立を行っている。この方法を用いることでMERSコロナウイルスのウイルスゲノムに目的のウイルス蛋白質のウイルス感染時における機能を明らかにすることが可能となる。今年度は特に非構造蛋白質の一つであるnsp1蛋白質に着目し、この遺伝子操作系を用いてnsp1蛋白質のウイルス複製における役割を明らかにすることを試みた。その結果、nsp1蛋白質の13番目のアミノ酸がMERSコロナウイルスのウイルス複製の重要であることを見出した。今後、より詳細な解析を行うことでnsp1蛋白質を標的とした創薬の開発に繋がる基礎データーを蓄積することが重要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は研究計画通りに、MERSコロナウイルスの遺伝子操作系の確立と変異ウイルスの作出を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は作出した変異体ウイルスのより詳細な解析を行い、特に非構造蛋白質のウイルス感染時における役割を明らかにする予定である。
|