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2017 年度 実施状況報告書

微小環境の変化によるHIV潜伏化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K08814
研究機関横浜市立大学

研究代表者

宮川 敬  横浜市立大学, 医学部, 講師 (20580046)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードlatency-reversing agents
研究実績の概要

リンパ組織を取り巻く様々な微小環境の変化がHIV潜伏化・再活性化に関与すると推測されるが、その詳細な分子機構については不明な点が多い。本研究では前年度に樹立したHIV感染細胞株U2/U9(レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を有するHIVゲノムを恒常的に発現する単球由来細胞クローン)を用いた解析を行った。U2/U9細胞をさまざまな培養環境下で培養したところ、培養環境中の酸素濃度とウイルス遺伝子発現とに可逆的な相関性を見いだした。これらの細胞におけるウイルスプロモーター領域のエピジェネティクス解析により、低酸素培養下ではHIV潜伏化を示唆する特徴的なヒストン修飾が多数検出された。これらの結果から、低酸素環境はHIV潜伏化を促進させる可能性が示唆された。次に、HIV潜伏化に伴って発現上昇する宿主遺伝子の網羅的解析を行ったところ、約6,000遺伝子が抽出された。このうち、HIV潜伏化に関与する可能性のある因子群をバイオインフォマティクスで抽出した。これらの因子が潜伏化に関与する機構については現在解析中である。また、HIV潜伏・再活性化の作用機序解析および新規LRA(latency-reversing agents)開発のために、ケミカルバイオロジーを用いてHIV遺伝子発現を正もしくは負に制御する低分子化合物を探索したところ、中枢神経系受容体に作用する化合物のいくつかがU2/U9細胞におけるHIV遺伝子発現を顕著に高めることが分かった。現在その詳細な作用機序および新規LRAとしての有用性について解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、本年度までに独自のアッセイ系を用いてHIV潜伏化・再活性化に関わるシグナル経路や宿主因子候補をそれぞれ見いだした。また、従来と薬剤標的が異なると考えられる新規LRA候補を見いだした。研究計画はおおむね順調に推移していると考えられる。

今後の研究の推進方策

低酸素シグナル経路が惹起するHIV潜伏化、および中枢神経系シグナル経路が惹起するHIV再活性化にそれぞれ関わる責任因子を同定し、その分子機構について解明する。実際の感染細胞を用いた検証を行う。また、現在までに見いだした新規LRA候補の有用性について検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] がん抑制遺伝子産物APCはHIV細胞-細胞間感染を促進する.2017

    • 著者名/発表者名
      宮川 敬, 梁 明秀
    • 雑誌名

      感染・炎症・免疫

      巻: 4 ページ: 302-304

  • [学会発表] The tumor suppressor APC promotes HIV-1 assembly via interaction with Gag protein2018

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa K, Ryo A
    • 学会等名
      U.S.-Japan Cooperative Medical Sciences Program 20th International Conference On Emerging Infectious Diseases In The Pacific Rim
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 宿主因子APCによるHIV細胞-細胞間伝播制御機構の解明2017

    • 著者名/発表者名
      宮川 敬, 梁 明秀
    • 学会等名
      第31回 日本エイズ学会学術集会
  • [備考] 横浜市立大学医学部微生物学ホームページ

    • URL

      http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~saikin/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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