研究課題
E型肝炎は、通常HEVが糞口感染することによって引き起こされる急性肝炎である。HEVを培養細胞系で増殖させる系は確立されたが、ウイルスの増殖は非常に遅く、ウイルスの病原性やトロピズムを解明する上で、効率のよいHEVの増殖系を確立することが望まれている。これまでに、HEVの構造蛋白領域をレポーター遺伝子に置き換えたレプリコンの樹立に成功し、このHEVレプリコンの複製増殖系を用いて種々の化合物ライブラリのスクリーニングを行い、複数の阻害活性を有する化合物を同定した。その中には、実際にE型肝炎の治療に用いられているリバビリンも含まれており、このレプリコンを用いたスクリーニング系が有効であることを示せていると考えている。さらに、培養細胞へのHEV感染後に上記の化合物を作用させたところ、リバビリンと同程度あるいはそれよりも強いウイルス増殖抑制活性を示す化合物を見出すことができた。これらのHEV増殖阻害活性を示す化合物の中で、同様の生理活性を持つ化合物のグループが存在することを見出した。この化合物の作用点となっている宿主蛋白がHEV増殖に重要な機能を果たしていることが強く示唆されたため、現在この宿主蛋白の機能をsiRNA等で阻害し、ウイルス複製に与える影響について現在検討を行っている。さらに、in vivoでこれらの薬剤のHEV増殖阻害活性を検討するため、これまでに確立したラットへのラットHEV感染モデルの使用を試みた。まず、ヒトでのHEV増殖阻害活性が確認されているリバビリンを本モデルに投与することによりウイルス増殖抑制効果をin vivoで見られるかを検討したところ、45mg/dayの投与で血中および糞便中のウイルス量を大きく減少させることを示すことができ、本モデルのE型肝炎サロゲートモデルとしての有用性を示すことができた。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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