研究課題
2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cell:ILC2)は抗原受容体を持たない新規に同定されたリンパ球であり、喘息アレルギー疾患や寄生虫排除に重要な働きをしている。ILC2の分化にはサイトカインIL-7が必須であることが知られているが、ILC2の分化を支持するIL-7産生ストローマ細胞は未だ同定されていない。本研究は、IL-7遺伝子座に蛍光タンパクGFPをノックインしたマウス及び、ストローマ細胞特異的IL-7遺伝子欠損マウスを用いて、ILC2の分化・機能獲得の場となるIL-7産生性の局所的環境(ニッチ)を同定し、自然リンパ球の分化を制御する機構を明らかにすることを目的とする。本研究成果により、気管支喘息や寄生虫感染症などの疾患に対して、ニッチ細胞特異的にIL-7産生を薬物で調節し、自然リンパ球の発生をコントロールする治療法の開発が可能になると予想される。本年度は、先ずIL-7-GFPノックインマウスの腸間膜の観察を行った。その結果、腸間膜ではIL-7-GFPのシグナルが全く検出されなかった。従って、末梢組織である腸間膜は、ILC2分化の場ではないことが示唆された。また、肝臓は胎児期の造血臓器であり、肝臓における主要なIL-7産生源は肝細胞であるが、肝細胞特異的にIL-7を欠損させたマウスでは、肝臓内ILC2の絶対数に変化が無かった。従って、肝細胞に由来するIL-7は、ILC2の分化に必須ではないことが示唆された。
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Immunity
巻: 48 ページ: 286-298
doi: 10.1016/j.immuni.2018.01.004.
http://www.infront.kyoto-u.ac.jp/
http://www.virus.kyoto-u.ac.jp/Lab/Ikuta-Lab/index.html