研究課題/領域番号 |
16K08842
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
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研究分担者 |
三宅 靖延 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10392143)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IL-27 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
IL-27は、IL-12サイトカインファミリーに属し、免疫抑制作用を持つサイトカインである。IL-27はこれまでマクロファージや樹状細 胞などの骨髄由来の抗原提示細胞から産生されるとされ、解析が行われてきた。申請者らは、IL-27が、マラリア原虫に感染したマウ スにおけるT細胞から産生され、免疫抑制作用を示すこと、また産生T細胞は、TregやTr1など既知の制御性T細胞とは異なる細胞集団に属することなどを報告してきた。本研究ではこのIL-27を産生するT細胞(Tr27)の詳細を解析することを目的とし、昨年度までにIL-27p28サブユニットの下 流に蛍光色素の遺伝子を接続したレポーターマウスを作成した。作成されたマウス由来のマクロファージの骨髄由来抗原提示細胞 をLPSなどで刺激したところ、蛍光色素の発現が確認され、これはELISAで測定 したIL-27(p28サブユニットを含む)と同様の傾向を示した。T細胞を抗原非特異的に刺激した場合には、IL-27p28の 発現は認められなかったため、Tr27の分化誘導には特殊な条件が必要とされることが推察されている。感染に用いるため、このマウスをB6 系統に戻し交配を行い、現在F9程度まで戻し交配を進めた。戻し交配途中のマウスの一部を用いてマラリア原虫感染、BCG感染を行ったが、マウスの数の問題で感染後の詳細な経過を追うことができず、時間経過などを含めた解析が必要と考えている。今後、 このマウスを、いくつかの感染実験に供するほか、自己免疫・炎症性疾患のモデル実験に供し、T細胞がIL-27を産生する条件、病態などの解析を行う。また、マラリア感染実験、あるいはその他の系におけるIL-2 7p28産生T細胞を分取し、その特異的マーカーや転写因子などを解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの作成と戻し交配に時間がかかったことと、感染実験のためには戻し交配の済んだマウスを増やす必要があるため。ただし、戻し交配の途中のマウスを用いることにより予備的検討を行い、レポーターマウスの特製や、マラリア感染実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
戻し交配は完了したので、マラリアや結核菌・BCG感染実験を共同研究先とともに実施し、感染経過やTr27の分化条件などを詳細に検討する。また、T細胞に限定せず、レポーターマウスの特性を活かし、IL-27が産生される条件や場所、時間経過など、これまでに得られてきた解析結果を時空間的に展開し、IL-27のさらなる解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 前年度の研究に含まれる、マウスの戻し交配が遅れたため、感染実験他に供する戻し交配の済んだマウスの確保ができず、感染実験や、自己免疫実験はいずれも予備的検討で終わったため。 (使用計画) マウスが増え次第、また必要な共同研究先などに供与を行い、感染実験や、自己免疫実験などを開始し、必要なマウスの購入・維持費用や、必要な消耗品の購入に充てる。
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