研究課題
前年度までに、自己反応性TCRトランスジェニックマウスTg TRIM28欠損マウスでは、自己抗原に関係ないリンパ球増殖症候群が起こったため、TRIM28は、抗原非特異的、または、自己抗原に非常に弱い親和性をもつT細胞の恒常性維持に関わっている可能性を見出した。引き続き、薬剤誘発モデルおよび、移入モデルを用い、自己反応性TCRトランスジェニックマウスにおける自己寛容成立機構と、その破綻メカニズムを解析している。これらのマウスで、抗生物質服用(アンピシリン、ネオマイシン、バンコマイシン、メトロニダゾール4剤併用)処置を行うと、自己免疫疾患の発症がほぼ完全に抑制されたこと、マウスの飼育環境により、自己免疫疾患の発症頻度および重症度が異なったことから、このモデルにおける常在菌の関与が示唆された。自己免疫重症化、および軽症マウスでの腸内細菌叢を比較したところ、重症化、軽症化に関わる常在腸内細菌を、少なくとも属のレベルで絞り込むことができた。また、T細胞移入モデルにおいて軽症/寛解した個体の解析より、患部にFoxP3陽性T細胞が増えていることを見出した。これらのことから、多数の自己反応性T細胞がいる生体環境でも、自己免疫疾患の発症、非発症には、常在菌などの環境因子が必要なこと、これら環境因子は、病原性T細胞と制御性T細胞の分化、または活性のバランスに影響することがわかった。
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Int Immunol
巻: - ページ: -
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