研究課題
滞在型メモリーCD8T細胞は粘膜面など病原体侵入部位に長期間維持され、病原体再感染時に局所にて即座に反応することで防御免疫の第一線を担う細胞集団である。特に、肺に滞在しするインフルエンザウイルス特異的メモリーCD8T細胞はウイルス株間にて保存されている内部タンパクを標的とするため、様々な株間に交差反応性を示す。従って、肺内にウイルス特異的滞在型CD8T細胞を効率よく誘導することが今後のワクチン開発に重要である。本研究ではマウスインフルエンザウイルス感染モデルを用いて、肺滞在型メモリーCD8T細胞分化維持機構を解明することで将来的なワクチン開発へ応用するための基礎研究を行うことを目的とした。純粋な滞在型メモリーCD8T細胞解析のため、ウイルス感染マウス同士を外科的に結合するパラビオーシス実験系を用いて、ホストの体内に留まり続ける滞在型メモリーCD8T細胞とパートナーの体内から循環系を通じて侵入してきた循環型メモリーCD8T細胞を区別して解析したところ、肺内にて滞在型メモリーCD8T細胞と循環型メモリーCD8T細胞は完全に独立した機構で維持されていることが解った。即ち、循環系のメモリーCD8T細胞を除去しても肺実質及び肺気道の滞在型メモリーCD8T細胞は維持されうることが解った。また、肺実質の滞在型メモリーCD8T細胞は組織内にて恒常性増殖により維持されるが、その効率はリンパ節におけるメモリーCD8T細胞恒常性増殖と比較し優位に低く、これは、肺組織内における低恒常性サイトカイン環境を反映しているものと考えられる。また、肺気道の滞在型メモリーCD8T細胞は、これまで循環型メモリーCD8T細胞が持続的に移行することで維持されているとされていたが、循環型メモリーCD8T細胞ではなく、肺実質の滞在型メモリーCD8T細胞プールより補われていることを明らかとした。
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Front. Immunol.
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10.3389/fimmu.2018.02775.
10.3389/fimmu.2018.01214.