研究課題/領域番号 |
16K08854
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川畑 秀伸 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (20325864)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 診療参加型臨床実習 / インタビュー調査 / 卒前臨床教育 / 研修医教育 / 医学生教育 |
研究実績の概要 |
「研修医による医学生指導の現状と対応に関する研究」と題する本研究では、効果的な臨床教育法である「診療参加型臨床実習」において、研修医による医学生指導がどのような場面でどの程度実施されており、その利点と問題点、改善策の調査研究である。 平成28年度では、先行研究の精査、インタビューガイド作成、調査に必要な資料準備、インタビュー調査施設選定、倫理審査の準備を行った。先行研究の精査を行い、研修医による医学生指導で問題となる項目や確認が必要な指導の内容、状況がいくつか分かった。これらの重要な点を含めたインタビューガイドを作成した。そして、3つの施設での個別インタビューを実施するための準備を行った。対象者は各施設で、研修医、医学生、指導医それぞれ3名ずつ計27名と事務担当者計3名である。各対象者には、一般的な参加者属性の調査と半構造化インタビューにて、研修医による医学生指導の現状と対応が明らかにする。当初、フォーカスグループインタビューを計画したが、調査を実施する予定の施設から、研修医や指導医をまとめて集めることが困難であることが、指摘された。そのため、個別インタビューを実施する。調査と分析を並行して実施するように計画を立て、2か月単位で合計3つの施設にてインタビューと分析を実施する。もし追加調査の必要性が出た場合の候補施設も選定し、追加インタビューの予定として3か月間を予定している。この計画に沿って、平成29年度はインタビュー調査と分析を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、先行研究の精査をもとにインタビューガイドを作成した。合わせて、インタビュー調査のための施設検討し、3つの施設での実施準備を行った。そして、インタビュー調査に必要な資料準備をした。これらは、インタビュー対象者向けの研究説明書、同意書、参加者情報書、謝礼の説明、そして、インタビュー実施者向けのインタビューガイド、持参備品のチェックリスト、録音機材、実施予定日や場所などの準備である。 以下に具体的実施状況を説明する。個別インタビューにて、研修医、医学生、指導医それぞれ3名ずつと事務担当者数名を対象に、3施設での実施を準備した。インタビューガイドの一部を以下に示す。研修医に対して、1)医学生と平均的な1日ですごす時間。2)医学生に指導する際、気を付けている内容。3)医学生の指導に当たり、講習会とか説明会などの事前準備の内容。4)医学生を指導して、よかった点。5)医学生を指導して、困った点。6)医学生の指導に当たり、研修医に必要な内容。次に、医学生向けの質問の例として、1)平均的な1日の診療参加型実習において、実習の指導は誰から受けるか(多い順)。2)研修医からの指導の際、よかった点。3)逆に、よくなかった点。4)研修医による学生指導における希望。5)医師以外からの指導の有無、その内容、良い点と悪い点。6)医師以外の指導についての考え。そして、指導医向けには、研修医向けの質問と同様であるが、更に、医学生の指導に関する病院の方針、多職種連携教育に関する考えと実施状況を尋ねる。事務担当者については、2つの項目、つまり、医学生実習の受け入れと指導、多職種連携教育についての施設での方針、実施にあたっての長所と短所、今後必要な点について尋ねる。最後に、インタビューガイドの確定に合わせて倫理審査の準備も終わった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、3つの施設について実際のインタビュー調査を行う。予定では、7月に1施設でインタビューを行い、8月に分析を終え、合わせてインタビューガイドの修正を行う。9月と10月に同様に2つ目の施設、11月12月に同様に3つ目の施設でのインタビューを実施する。年度内に調査結果をまとめ学会報告の準備を行う予定である。その後、平成30年度に論文作成に取り組む。この過程を通じて、研究テーマである研修医による医学生指導の現状と対応を明らかにしていく。調査の際、予定している3つの施設以外で追加のインタビューが必要なことも予想される。例えば分析の結果、医学生が学内容や場面において研修医の関わり方が異なる可能性がある。症例提示、医行為、多職種連携といった医学生の実習項目での研修医の学生指導に対する役割の違いである。このような場合には、1,2月に実施する。この追加調査のための候補施設の検討を終えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査を初年度から当初予定していたが、インタビューガイドや調査対象者、施設が年度内に確定できず、旅費や分析費用を使えなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
インタビューガイドや調査対象者、施設が確定したため、当初の予定通りこれらの調査の際の旅費や分析費として、平成29年度に使用する。
|