研究実績の概要 |
2016年度には南海トラフ地震被災予想地域医療機関(16府県)の受援計画策定状況についてアンケート調査を実施し、受援計画策定済み病院8.1% (災害拠点病院;19.2%, 非災害拠点病院;5.3%、災害拠点病院で有意に高値)であることを明らかにした。また、受援計画策定は100床未満の病院、精神病院で策定が進んでいないことも明らかにした。結果は18の全国紙・地方紙新聞に掲載され、また第23回日本集団災害医学会総会・学術集会(2018年2月、横浜市)パネルディスカッションで発表した。また研究室ホームページで公開した(http://www.irides-icdm.med.tohoku.ac.jp)。 2017年度は研究で得られた受援に関する知見を東北大学病院BCP(事業継続計画)策定に活用し、策定したBCPを大学病院HP(https://www.hosp.tohoku.ac.jp/outline/017.html)で公開した。得られた知見が活用され、日本集団災害医学会総会・学術集会でのBCPシンポジウム座長、厚労省BCP研究班研究協力者として貢献できた。 2018年度は発災から3年を迎える熊本地震被災地医療機関を対象に受援計画策定に関するアンケート調査を実施し、受援計画策定率が31.4%であることを明らかにした(未発表;災害拠点病院54.5%, 非災害拠点病院29.5%, 300床以上の病院53.3%, 一般病院35.8%など)。災害を経るごとに国内医療機関受援計画の策定率が高まってきていることを明らかにした。また、医療機関受援計画はBCPと切り離して検討することはできず、BCP策定過程において受援計画を盛り込むべく引き続き研究を推進する必要がある。平成31年度科学研究費助成事業基盤研究(C)一般(19K10478)「全病院向け事業継続計画策定・管理を可能にするBCM診断・支援ツールの開発」(研究代表者:佐々木宏之)において、BCPと一体化した受援計画策定に関する研究を継続する。
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