研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)のマススクリーニングに関する経済評価として、特定健診・特定保健指導の文脈のもとでの腎機能検査の必須項目の変更という政策決定に関する費用効果分析を実施している。初年度からの計画として、経済モデルの構築に必要な臨床エビデンスの2010年以降の新しいデータのレビューを行いつつ、研究代表者がステアリングコミッティー委員を務めている厚生労働科学研究特定健診コホート等の解析を通じた臨床エビデンスの創出を行ってきていた。今年度は、特定健診において尿潜血を追加して行っている保険者で全死因死亡リスクが低下しているという画期的なエビデンスを明らかにすることができた(Iseki K, Konta T, Asahi K, Yamagata K, Fujimoto S, Tsuruya K, Narita I, Kasahara M, Shibagaki Y, Moriyama T, Kondo M, Iseki C, Watanabe T. Association of dipstick hematuria with all-cause mortality in the general population: results from the specific health check and guidance program in Japan. Nephrol Dial Transplant. 2017 Jul 12. doi: 10.1093/ndt/gfx213. [Epub ahead of print])。そこで、マススクリーニングのための腎機能検査項目として、尿潜血検査を追加するという政策決定に関する経済モデルの構築を目標として定め、腎臓内科領域疾患(腎炎、IgA腎症)と泌尿器科領域疾患(尿路結石、膀胱癌)を対象疾患とし、膀胱癌部分のモデルの構築まで進められた。
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