慢性腎臓病(CKD)は、社会的に早期発見による対策を進めていく必要がある。そのためにマススクリーニングとして、どのような腎機能検査を広く実施することが望ましいのかを明らかにすることが求められている。本研究は、このような社会的意思決定を支援するために、わが国の特定健診・特定保健指導の枠組みの中で必須項目ではないものの比較的広く行われている尿潜血検査を対象として、その普遍的な実施、つまり、必須項目化という政策決定に伴う費用対効果を推計した。尿潜血検査によって早期発見できるCKD、特にIgA腎症に着目した経済モデルによって、尿潜血検査の必須項目化が費用対効果に優れることを明らかにした。
|