本研究は、パニック症患者に対し、マニュアルに基づく個人認知行動療法(CBT)による治療効果を通常治療継続群との対比によるランダム化比較試験として検証するとともに、QALY (質調整生存年)換算による費用対効果(cost effectiveness)を明らかにすることを目的とした。 平成29年度から計画変更を行い、患者と治療者が対面式で行う方式から、テレビ電話を用いた遠隔方式での認知行動療法の介入研究とした。遠隔での認知行動療法の用いる全16回のセッション用の資料も作成し、実際に使用した。平成30年度までに、30名のエントリーがあり全員、研究参加への同意が得られた。 研究参加者を通常診療継続+認知行動療法群(COMB群)、通常治療継続群(TAU群)に群分けを行い、それぞれ開始前(0週)、中間(8週)、終了(16週)における評価を行った。評価は、パニック症の重症度評価として主要評価項目であるPDSS(Panic Disorder Severity Scale)をブラインド化された第三者による構造化面接で実施、自己記入での評価として、パニック症の重症度を測るPAS(Panic and Agoraphobia Scale)、精神的健康度のPHQ-9(Patient Health Questionnare-9)、全般性不安のGAD-7(Generalized anxiety disorder-7)、医療経済評価のベースになる健康関連QOLのEQ-5D(EuroQol5-Dimension)で評価を行った。COMB群については1週1回のペースで全16回の遠隔での認知行動療法を施した。TAU群については、16週の評価終了後に、レスキュー研究として介入群と同内容の認知行動療法を施し、令和2年3月をもってすべて終了した。 現在、分析した結果をもとに論文化に向けて執筆中である。
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