研究課題
福岡市における節薬バック運動は残薬の現状把握を第一段階として開始した。そして、収集した残薬情報をもとにした服薬アドヒアランスの定量評価法を確立することで、アドヒアランス不良に関わる処方要因・患者要因を定量的に明らかにすることができた。通常の服薬指導を行ってもアドヒアランスが改善しない患者が存在する。従って、薬局薬剤師はさらなる服薬指導法の開発が必要となっている。本研究の次の段階として、残薬を含めたアドヒアランスの確認に薬局薬剤師が関与することにより患者の服薬アドヒアランスが向上するか評価を行った。慢性疾患薬の服薬アドヒアランス不良の患者に対する薬剤師の服薬指導において、服用時点別服薬状況スコアを用いた継続的な服薬状況評価を行った。服用時点別服薬状況スコアは0(全く飲めていない)から10点(すべて飲めている)のスケールによって患者および薬剤師が患者のアドヒアランスを数値化したものである。7点以下の患者をアドヒアランス不良と定義し、福岡市、大分市において58名のアドヒアランス不良の外来患者を対象に実施した。評価は120日以上継続し、開始前、中間、最終時点のスコアを評価した。患者、薬剤師のそれぞれの服用時点別服薬状況スコアは有意に上昇するとともに、患者アンケートからも患者は薬剤師とのコミュニケーションの向上、患者自身の病気や薬に対する理解、服薬意識の向上を感じていたことが明らかとなった。本研究の結果から、患者と薬剤師による服用時点別服薬状況スコアを用いた服薬指導により、患者の服薬アドヒアランスが向上することが示唆された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
薬学雑誌
巻: 138 ページ: 1549-1559
10.1248/yakushi.18-00072
巻: 138 ページ: 1313-1322
10.1248/yakushi.18-00027