本研究では、病状悪化時に備えた事前意思決定に関する高齢者の意向について明らかにするとともに、我が国の高齢者の意向や我が国の医療システムに即した事前意思決定支援プログラムを開発することを目的とした。 対象は、治癒不能の進行がんに罹患しており、第一選択の静注化学療法を受療して有効ではないと判断された患者とした。研究デザインは縦断的観察研究であり、ベースライン、及びその3ヵ月後に評価を行うこととし、各調査時点において、事前意思決定に関する質問票を実施した。質問内容としては、現在受けている抗がん剤治療の目的の理解、現在の健康状態に関する理解、今後の療養について主治医と話し合ったことがある内容、今後の治療方針についてどの程度積極的に関わりたいか、「病状が進んだ時にどのように過ごすか」と言うことについて、事前に話し合いたいか、病状が進んだ時にどのような療養を希望するか、などを含むものとした。 平成28年度には、事前意思決定に関する質問票開発を行うとともに、多施設共同研究として実施するための研究組織を構成した。また研究計画を確定し、倫理審査委員会での承認を得た。また名古屋市立大学で実地調査を開始した。 平成29年度には、九州がんセンター、愛知県がんセンター中央病院でも実地調査を開始し、現在もまだ調査を継続中である。
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