研究課題/領域番号 |
16K08879
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
松浦 誠 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (00405846)
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研究分担者 |
藤澤 美穂 岩手医科大学, 教養教育センター, 助教 (60625838)
前田 智司 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (60303294)
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臨床実習 / ストレス / 唾液アミラーゼ / POMS2 / 身体的ストレス / 心理的ストレス |
研究実績の概要 |
臨床実習中に受けるストレスの新規評価系の確立を目指して次の取り組みを行った。①岩手医科大学附属病院で実習する6名を対象に第2期実習期間中、毎日定時に唾液アミラーゼ活性値を測定するとともに、自身が現在感じてるいるストレスレベルを主観的ストレスとし1から10(10が最大)の数値で記録した。実習は大きく分けて6つの課題をローテーションすることから、1)実習時期 2)実習項目による影響 3)ローテーションによる影響について検討した。②Profile of Mood States:POMS2検査用紙を用いた気分感情状態の測定を併用することで客観的なストレス評価の指標とし唾液アミラーゼ活性値と比較検討を行った。 ストレスは複合的な要因が複雑に絡み合っており、本研究では臨床実習中に受ける身体的ストレスと心理的ストレスについて測定することが出来た。 主観的ストレスレベルと唾液アミラーゼ活性値に相関性は認められなかった。またPOMS2の解析結果から実習開始時は混乱-当惑や緊張-不安が認められるもの、主観的ストレスレベルと唾液アミラーゼ活性値に差は認められないことから実習項目とローテーションによる影響は少ないと考えられた。POMS2の結果からも実習時期におけるストレスに優位な差は認められなかった。 実習項目と心理的ストレスの関係において高いストレスレベルの項目が認められたが、内容に難易度の高い実技内容が含まれていることが要因の一つと考えられた。 また、臨床実習は病院のみならず保険薬局でも同様に実施されることから保険薬局1施設に協力を依頼し、パイロットスタディとして実施した。ここでは学生2名を対象としたが、指導薬剤師の受けるストレスレベルを評価するため指導薬剤師2名にも協力してもらった。結果については調査が3月末までとなったことから現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は臨床実習における唾液アミラーゼ活性値測定のタイミングとストレスの関係について把握することを第1の目的とした。当初、唾液アミラーゼ活性値を測定するタイミングは実習開始時、中間(6~7週目)、終了時と3点での評価を計画したが、唾液アミラーゼによるストレスは即時性が反映されていることから、日々の変動を記録するほうが適切と考え、実習期間中の昼休みに毎日測定した。その結果1日1回測定することは学生の負担となることはなく、対象とした全員がすべて測定し記録した。また、同一の実習項目が1週間程度継続して実施されることから、当該項目における日々の変動を確認することが出来た。当初10名程度の実習生を想定していたが、測定への協力が得られなかったことから今回6名となった。また、POMS2試験への記録は実習項目の開始時及び終了時の2点としたが、こちらの記録は不十分である学生がおり、開始時のみや記録を行わないなどがあり、POMS2試験への回答充実が課題となった。しかしながら、本研究における唾液アミラーゼ測定のタイミングが確立したと考えたことから概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は平成28年度に行った内容に基づき、対象人数を拡大し調査を行うこととする。具体的には附属病院で臨床実習を行う学生を対象としてさらに人数を増やす予定である。特に臨床実習は5月から7月まで(1期)、9月から11月まで(2期)、1月から3月まで(3期)と3つの期に分けられており、平成28年度は2期のみの実施となったことから、平成29年度は1期から3期の全てを対象として調査を実施する。解析対象者を増やすことで、臨床実習到達目標実施における唾液アミラーゼ活性値の測定及び評価、唾液アミラーゼ値とPOMS2によるストレス評価系との関連性についても検討を行う。解析対象人数が増えることで、新たな知見が得られる可能性が期待される。その一方で、現在の調査方法では唾液アミラーゼモニターチップやPOMS2試験用紙のコストが高く、容易に解析対象人数を増やすことが困難であることから唾液アミラーゼ値の測定やPOMS2の実施タイミングについても、継続して検討したい。さらに学生の興味や関心の高い項目との関連性とストレスについても検討する必要があると思われた。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成28年度は臨床実習実施期間別に唾液アミラーゼ活性値の測定を実施する計画であった。臨床実習期間は11週間とし、実務実施時期は1年間を第1期(5月から7月)、第2期(9月から11月)、第3期(翌年1月から3月)の3期に分け、第2期及び第3期に10名程度の学生を対象として唾液アミラーゼ活性の測定を行なう予定だったが、第2期だけを対象として実施したため、唾液アミラーゼモニタ及び唾液アミラーゼチップ及びPOMS2試験用紙の購入予算が当初より少なかった。また、データ管理及び解析用パーソナルコンピューターの購入を次年度に購入するよう変更したことから、結果的に当初予定した資金を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は解析対象人数を増やすことから、唾液アミラーゼモニタ、唾液アミラーゼチップ及びPOMS2検査用紙の購入数資金として使用する。(1650検体:10名×55×3)また、データ管理及び解析用パーソナルコンピューターが必要となり、データ漏洩等の防止の観点からセキュリティ対策が施された機種を購入する。日本医療薬学会年会(11月幕張)、日本薬学会第138年会(平成30年3月金沢)での学会発表及び情報収集のための旅費として使用する。
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