研究課題/領域番号 |
16K08882
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
嶋澤 るみ子 東海大学, 医学部, 教授 (00411083)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | WHO必須医薬品モデル・リスト / 顧みられない感染症 / 医薬品添付文書 |
研究実績の概要 |
医療職への書面による医薬品情報提供方法として、日本の添付文書に相当する文書が各国に存在し、記載形式・内容は規制当局により管理されている。今回は各国医薬品情報提供文書の比較研究の一部として、小児向けWHO必須医薬品モデル・リストを用いて、先進国の3地域(日本、米国、欧州)での、特に小児への投与に関連する効能・効果、用法・用量、剤形などの承認状況と添付文書(米国ではlabeling、欧州ではSPC: summary of product characteristicsが該当)の記載状況について、当該医薬品のエビデンスとの関係を調査した。 小児向けWHO必須医薬品モデル・リストに掲載されている346医薬品のうち、大半(307医薬品)は、3地域のいずれかで承認され、使用に関するエビデンスもあったが、39医薬品は3地域のいずれでも承認されていなかった。必須医薬品モデル・リストに掲載されている抗がん剤(30医薬品)はすべて承認されているが、駆虫薬は60%(24/40医薬品)しか承認されていなかった。39医薬品のうち、顧みられない感染症(NIDs: neglected infectious diseases)を対象疾患とした医薬品は26医薬品であり、うち17医薬品は小児投与に必要な剤形も市販では入手不可能である。さらに26医薬品の内、10医薬品については小児使用を支持するエビデンスが存在していない。 小児向けWHO必須医薬品モデル・リストに対する先進国の寄与は限定的であり、NIDsへの小児適用に対する製薬企業のへの適切なインセンティブ等が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医薬品情報源であるDrugDexでのエビデンス評価を用いた医薬品承認情報・添付文書比較が実行できることが示せたため
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今後の研究の推進方策 |
テキストマイニングを利用した各国添付文書比較の研究を進めると共に、日米でのコンパニオン診断薬の承認状況と保険適用とコンパニオン診断薬を利用する医薬品の添付文書記載の関係についての解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース(DrugDex)利用料金がドル建てのため当初計画より安価に済ませることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度のデータベース(DrugDex)利用料金は10%ほど上昇する予定であり、またテキスト解析ソフト(NVivo)を導入してテキストのマニュアル解析の効率化に役立てる予定である。
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