研究課題
[課題1] QOL値(効用値)の理論的意義の明確化と信頼性向上近年、マッピングの手法と報告形式について標準化を目的とした’MAPS Reporting Statement’(PharmacoEconomics (2015) 33:993-1011)と、’ISPOR(国際医薬経済アウトカム研究学会)のTask Force Report’(Value Health (2017) 20:18-27)において、その方法と報告の標準化に関する論文が出版されたので、それらの翻訳を著者と出版社に許可を求めて行っている(2017年度初旬に完成予定)。また、乳癌対象の長期臨床試験における効用値測定の有用性についての分析を行い、論文として出版した(Qual Life Res (2017) 26(2):445-453)。[課題4] 医療資源配分への多基準意思決定分析(MCDA: Multi-Criteria Decision Analysis)の応用当初、H29年度以降に開始する予定であった課題4 を先行して開始した。MCDAの医療資源配分への応用研究のsystematic reviewを行い、MCDAで重視すべき医学的・社会人口統計学的要因を抽出し、それらを基に日本の医療専門職(医師、薬剤師)と一般人を対象としたweb調査を行った。命に関わる疾患(例えばがんのような病気)の治療薬について、国が公的医療保険や税金で費用を負担するかどうかについて判断する場合、どのような要素をより重視すべきかについて、2段階の調査を行った。Phase 1では719人を対象に調査を行い、職種別に要因の優先順位を明らかにした。Phase 2では、同一対象者に対し、Phase 1で絞り込まれた要因について、相対的重要性を明らかにした。詳細は現在分析中である。[課題2] と[課題3]はH29年以降に開始する予定。
3: やや遅れている
[課題1](QOL値)、[課題4](MCDA)はむしろ前倒しで進んでいるが、当初初年度に進める予定であった、[課題2](生産性損失),[課題3](real world dataの有用性)の研究の開始が遅れている。
[課題1](QOL値): プロファイル型尺度やPRO(Patient-Reported Outcomes)尺度から効用値へのマッピングに関する標準化のための、各種ガイドラインの翻訳とわが国への紹介を進める。前立腺癌患者のQOL調査を基にした、実際のマッピングの実践も行なう予定である。基本的潜在能力の応用についても研究を開始する。[課題4](MCDA): パイロット的に行った2段階にわたるweb調査の結果を学会発表と論文にまとめる。さらに、次の段階として必要な、より具体的な医療技術における要素の優先順位や相対的重みづけを、医療専門家のパネルを対象に実施し、最終的にMCDAを実践する標準化を行う。さらに、余裕があれば、命にあまり関わらない慢性疾病におけるMCDAの標準化も行う。[課題2](生産性損失): 当初H28年度に予定をしていた、測定尺度や算定方法についてのシステマティックレビューを開始する。[課題3](real world dataの有効性): 臨床試験に基づくデータを用いた場合とレセプトや電子カルテのデータベースを用いた場合の費用効果分析結果の相違に関する文献のシステマティックレビューを開始する。
次年度人件費として繰越をしたため。
2017年度分の人件費として使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件、 招待講演 5件) 図書 (3件) 備考 (2件)
Breast Cancer
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