研究課題/領域番号 |
16K08894
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
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研究分担者 |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
白岩 健 国立保健医療科学院, 保健医療経済評価研究センター, 主任研究官 (20583090)
村澤 秀樹 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50770202)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療資源配分 / 医療経済評価 / 健康アウトカム評価 / 費用対効果 / 患者選好 / 保険償還 |
研究実績の概要 |
【課題1】費用効果分析に用いる効用値の理論的意義の明確化と信頼性向上:プロファイル型尺度で測定したQOLスコアから効用値に変換する手法(マッピング)のガイダンス2つ、即ち、MAPS Reporting Statement、ISPOR Task Force Reportの翻訳と解説を作成。前者は保健医療科学67巻に掲載、後者は投稿準備中。また、前立腺癌患者のQOL(FACT-P)と効用値(EQ-5D-5L, EQ-VAS)の横断調査の結果をQual Life Res(online、2019年4月)に掲載した。380人が登録。EQ-5Dの平均値(SD)は、局所、局所再発、遠隔転移、去勢抵抗性遠隔転移(CRPC)で各々0.87(0.15)、0.86(0.15)、0.85(0.18)、0.84(0.17)であった。効用値はPSと有意に関連し、EQ-5DとFACT-Pの相関は高かった。 【課題2】生産性損失と【課題3】費用対効果のモデル分析に使うデータソースの検討は、2019年度に検討する。 【課題4】医療資源配分への多基準意思決定分析(MCDA)の応用:直ちに命に係らない疾患の治療薬の償還可否に関わる基準選定と重みづけ調査。まずweb panelの986人(一般人606、医師138、看護師119、薬剤師123)に、26個の基準に7-point scaleで重みをつけてもらった。各職種の上位をカバーする7基準として、自己負担額、副作用、症状緩和、費用対効果、生産性損失、生存期間延長、社会的イノベーションが明らかになった。次に同じ対象に100点を7基準に配分してもらい相対的重要性を明らかにした。回答者は852人。一般人と看護師が症状緩和を、医師と薬剤師が費用対効果を重視した。この結果は昨年度の命に係る疾患の結果と同様であった。この成果はISPOR Europe 2018で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1と4は、事前予想以上に作業が進んでいるが、課題2(生産性損失)と課題3(real world dataの有用性)の研究は遅れている。課題2は、生産性損失の具体的調査方法、特に介護保険料を含めた算定と、QOLやコストの重複算定の解決が滞っている、課題3では、national data baseの使用手続きが容易ではないこともあり、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
残り1年となったことから、今後は、すでに進捗が進み、現在も研究が順調に継続しつつある、課題1と4に特に注力したい。 課題1では、マッピングに関するISPOR Task Forceのレポートを投稿し、日本に紹介することにより、マッピング手法の標準化を図るとともに、様々な臨床試験におけるQOLや効用値調査を推進する。 課題4では、国際的なグループが開発したEVIDEMフレームワークが、日本の医療資源配分政策応用に使用可能かどうか、その信頼性と妥当性を検討中であり、成果を積み上げたい。 遅れている課題2と3についても、課題解決に尽力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、課題1の研究内容のうち、マッピングに関する論文投稿が一つ遅れている(ISPOR Task Force Reportの翻訳と解説についての論文の保健医療科学への投稿)ことと、課題2,3の研究が予定通り進んでいないことにある。
今年度の使用計画の中にいずれも含む予定である。
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