研究課題/領域番号 |
16K08895
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
木下 健司 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70441219)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬物代謝酵素 / 一塩基遺伝子多型 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
口腔内の唾液をスポイドで採取して水溶紙上に滴下乾燥した検体の小片(1.2mmΦ)を直接TaqMan PCR反応液に挿入してリアルタイムPCR装置で遺伝子多型解析する方法を開発したが、唾液中の口腔粘膜細胞数にバラツキがあり、アルコール体質遺伝子検査結果判定の歩留まり率が80~90%であった。唾液という間接的に口腔粘膜細胞を採取する方法ではなく、口腔内洗浄用スワブ(歯科用、素材:スポンジ)を使用して直接的に粘膜細胞を採取し、スポンジ内の唾液中の口腔粘膜細胞を機能性水溶紙に効率よく転写するプロセスを開発した。更に、プラスチック袋と乾燥剤の組合せにより、採取した唾液サンプルを迅速及び確実に乾燥することが出来た。水溶紙を装着したサンプリングキットは、コンタミネーション及び乾燥を補助出来る形状に改良した。以上のサンプリングキット及び工程の改良、更には、TaqMan PCR反応条件の変更に伴い、遺伝子検査の歩留まり率(正確性)を99%以上にすることに成功した。 アルコール体質遺伝子(ADH1B, ALDH2)を対象にした実証実験で遺伝子検査方法の効率性および正確性の飛躍的向上の確認が出来た。また、薬物代謝酵素CYP2D6において1%以上のアリル頻度で日本人に観察されるSNPs(CYP2D6*1/*2/*10/*14)をTaqMan プローブで検出する実験条件に発展することが出来た。上記サンプリング方法は口腔粘膜細胞数に個人差の少ない唾液採取法であるので、一塩基多型と同様にTaqMan プローブによるリアルタイムPCR反応でCYP2D6*5(欠損)及びコピー数多型解析できる状況となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子検査を実施するサンプリングキット及び工程の改良、更には、TaqMan PCR反応条件の変更に伴い、遺伝子検査の歩留まり率(正確性)を99%以上にすることに成功した。アルコール体質遺伝子(ADH1B, ALDH2)の一塩基遺伝子多型解析に応用した実証実験で遺伝子検査方法の効率性および正確性の飛躍的向上することを確認が出来た。また、平成29年度計画の薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝多型検査において1%以上のアリル頻度で日本人に観察されるSNPs(CYP2D6*1/*2/*10/*14)をTaqMan プローブで検出する実験条件に発展することが出来た。更には、上記サンプリング方法は口腔粘膜細胞数に個人差の少ない唾液採取法であるので、TaqMan プローブを用いたリアルタイムPCR反応でCYP2D6*5(欠損)及びコピー数多型解析を多検体で実施出来る実験条件の確立に成功した。武庫川女子大学薬学部薬学科及び徳島文理大学香川薬学部在学生に対して、講義・セミナー「個別化医療実現に向けて」を開催した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究成果である乾燥唾液検体を使用した遺伝子解析プロセスを薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型 (CYP2D6*1/*2/*5/*10/*14およびDuplication) 解析法に展開させ、遺伝子解析法を確立させる。武庫川女子大学及び徳島文理大学香川薬学部の学生を対象としてCYP2D6の遺伝子解析を実施する。薬物代謝酵素遺伝子情報を活用した個別化医療の実践教育技法を活用して、保険薬局薬剤師の理解及び実践力を養成のためのトライアルを開始する。最終的には、健常な学生の1000名規模の薬物代謝酵素CYP2D6の遺伝子多型情報解析並びに鎮咳薬等の服用後の感受性・副作用発現に関する遺伝的要因について統計学的解析を計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
プラティカディスポーザブル口腔ケアスポンジSサイズ50本 規格161217791(17,496円消費税込)の納品の遅れにより、繰越金が発生してしまいました。平成29年4月3日(月)に納品予定のため、研究計画には影響を与える問題は生じない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度4月に納品されますので、計画に従って使用します。
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